ビオトープ(庭池・滝・小川)ガーデンの正しい作り方

ビオトープ(庭池・滝・小川)ガーデンの作り方にはいろいろなノウハウや注意点があり、作り方を間違えるとトラブル続きというケースもあります。ビオトープ作り専門のアクアフォレストがこれまでに培ったビオトープガーデンの作り方、庭、ベランダ、屋上に作る際の注意点、水漏れ、アオコ、アオミドロ、メダカの飼育方法、Q&A、トラブル例等のお役立ち情報をご紹介します。

 

<目次>

1.ビオトープを作るその前に(これだけは知っておきたい注意点)

 ・ビオトープの意味

 ・「自然環境保護」と「ガーデニング」でのビオトープの違い

 ・ビオトープ先進国ドイツとの違い

 ・ビオトープ作りで失敗しないためのポイントと注意点

 ・正しい情報の見分け方

 ・学校ビオトープを成功させるためのポイント

 ・在来種と外来種について

2.ビオトープ作りでやってはいけない三原則

 ・土(荒木田)を入れる

 ・溜池状態にする

 ・メンテナンスをしない

3.ビオトープ作りを成功させるための三原則

4.ビオトープの防水方法

 ・防水シートや遮水シートを使用する方法

 ・コンクリートやモルタルを使用する方法

 ・成型池を使用する方法

5.アオコの“毒性”について

6.アオミドロについて

7.ボウフラについて

8.良い藻・悪い藻の見分け方

9.メダカの飼い方について

10.水生植物の生態と育成条件について 

11.最適な水深について

12.ベランダ・屋上での注意点

 ・積載荷重

 ・防水

 ・防根

 ・潅水

 ・軽量土壌 

13.ビオトープの作り方失敗例  

 ・水漏れ

 ・アオコとアオミドロの大発生

 ・カラスの大群襲来

 ・不自然なデザイン 

14.Q&A  

 ・水が緑色に濁る 
 ・きれいな井戸水を使用しているのにアオコが発生した
 ・ボウフラが湧いてしまった
 ・カラスが集まるようになってしまった
 ・メダカが大繁殖してしまった
 ・いつのまにかメガカがいなくなってしまった
 ・水漏れしてしまった
 ・水漏れしてないのに少しずつ水が減る

15.助成金情報

 ・東京都

 ・神奈川県

 ・埼玉県

 ・千葉県

16.お役立ち情報と雑学

 ・庭池と家相について  

 ・池と沼と湖の違いについて

 ・せせらぎのビオトープにやって来た小さな生物たち

 ・便利グッズの紹介 

 ・良い業者の見分け方

 

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ビオトープとは

※当サイトにおける「ビオトープ」とは、ガーデニング用語で一般的に意味する自然風の水辺(庭池・滝・小川等)を総称するもので、自然環境保護を目的とするものではありません。  

ビオトープを作る前にまず行っていただきたい事、それはビオトープの意味を正しく理解することです。近年「ビオトープ」という言葉の意味は多様化し、いろいろな情報がありますので、何を参考にしてビオトープを作れば良いのか判らないという方も多いと思います。

ビオトープとは本来、生命(バイオbio)と場所(トポスtopos)の合成語で「生物の生息空間」という意味です。(ビオトープというと水辺をイメージしますが、必ずしも水辺がなくても良いのです)元々は環境保全や野生生物保護に取り組んでいる専門家が使っていた言葉だそうですが、現在はその意味が多様化されておりはっきりとした定義はなされていません。

当サイトでご紹介するようなガーデニング分野では、池・滝・小川など「自然風の水辺」のことを総称してビオトープ、又はビオトープガーデン等と呼んでおり、庭、屋上緑化、ベランダ、アトリウム等、多くのガーデニングシーンで一般的に親しまれているものです。

参考:Yahoo!キーワード検索:ビオトープ   Googleキーワード検索:ビオトープ

    Yahoo!画像検索:ビオトープ    YouTube:ビオトープ 

後に詳しく説明しますが、ビオトープには大別して「自然環境保護」の分野で用いられる意味と、「ガーデニング」の分野で使われる意味がありますので、これらを混同してしまわないように注意してください。


<ビオトープの正しい作り方>目次

「自然環境保護」と「ガーデニング」でのビオトープの違い

インターネットでビオトープの定義を検索すると「ビオトープとは生物の住息環境を意味する生物学の用語で・・・」という様な難しい説明がでてきます。参考:ビオトープの定義(Wikipedia)

このような学術的な定義は公共事業等で行われる自然環境の復元や生態系の保護を目的としたビオトープ作りの時に用いられます。これら自然環境保護分野のビオトープでは、むやみに穴を掘って水を溜めたり、外来種の植物を植えてしまったりすると、環境破壊につながる恐れもあるため作り方は厳密に定められており、ビオトープ管理士※など専門家による高度な知識や技術を必要とします。維持管理も難しいので一般の人がガーデニング感覚で庭やベランダに作れるものではありません。

ビオトープ管理士の詳しい情報はこちら

 

                                    「自然環境保護」分野での様々なビオトープ

ビオトープ 森ビオトープ 滝ビオトープ 

                    

一方、ガーデニング分野のビオトープは、庭やベランダなどのプライベートな人工環境において、水のせせらぎやそこに集まる生物などを見て楽しみ癒される、といった観賞目的として作りますので、自然環境保護を目的としたビオトープの定義にはあてはまりません。ところが困ったことに「ビオトープなのだから魚は〇〇、植物は〇〇を入れなければいけない、防水は簡易的で大丈夫、濾過システムや水の循環はビオトープ本来の意義に反する、手入れをせず自然のままが一番良い」と、自然環境保護分野のビオトープの定義に固執して譲らない人を時々見かけるのですが、このような作り方をしてしまうと水漏れして庭全体がグチャグチャの湿地帯になってしまったり、ドブのような臭くて汚い水質になってしまったり等々、トラブルに悩まされてビオトープを楽しむどころではないという残念なケースになることがほとんどです。

そもそもビオトープ本来の意味である自然環境の復元や生態系の保護は、自然環境の中で行うものであって、個人のお庭やベランダなどの人工環境の中で行えるものではありません。なぜなら、自然環境の中には美しい草花、蝶、小鳥のように人に歓迎される生物ばかりでなく迷惑な生物も数多く存在します。もしお庭で自然環境の復元や生態系保護を行うというのであれば、カラス、蚊、蛾、蜘蛛、蜂など、時として人に害を及ぼす生物や、見苦しい雑草なども全て受け入れなければなりません。人間の都合で一部の生物だけ排除するということは、ビオトープ本来の意味である「自然環境保護」という意味に矛盾していることになります。つまり、人が快適に過ごせる環境の中で自然環境の復元や生態系の保護を行うことは非常に無理があるのです。

 

                                    ガーデニング」分野の様々なビオトープ

庭のビオトープ(滝・流れ・池)ベランダビオトープ屋上緑化 ビオトープ 切り取り.jpg

        庭のビオトープ             ベランダのビオトープ            屋上のビオトープ             

ビオトープには、自然環境保護を表す意味と、ガーデニング用語で水辺を表す2つの意味があることがご理解いただけましたでしょうか?近年都市部においては地上の庭に限らず、屋上やベランダなどの人工環境にビオトープを作り楽しむケースが多くなりましたので、これらを2つの意味を混同してしまわないように注意し、人工環境に適合した作り方と管理を行わなければ、人が観賞して楽しむという目的からかけ離れたものになってしまいます。自然生物ファーストの「自然環境保護」分野と、人間ファーストの「ガーデニング」分野では、ビオトープの作り方や概念が全く異なるということを忘れないでください。

ガーデニング分野のビオトープには難しい定義などはありません。当然のことですが、自分のお庭にどんな植物を植えるのか、どんな魚を飼うのかは作る人の自由なのです。(※但し、もし自分のお庭で外来種等の植物や魚を育てた場合、増えすぎたからといって自然環境に放流したりすることは絶対にやってはいけません。) 学校や幼稚園などにおいて、自然の生態系を学習する目的でビオトープを作る場合を除き、ビオトープ本来の定義にとらわれる必要はまったくありません。

大切なのは「人が心地よく楽しめる範囲で上手に自然と共存する事」であることを忘れずにビオトープ作りをスタートしましょう。

ビオトープ先進国ドイツとの違い

ビオトープの歴史は、ドイツのある生物学者が「生物の生息空間」のことを、ギリシャ語の「bio=生命」と「topos=場所」を組み合わせた合成語「biotop」と名付け、1976年にドイツで自然環境の復元を盛り込んだ自然保護法が制定されたことから、政府や企業、市民が協力して森林や池などを整備するというビオトープ作り活動が広がったそうです。(ドイツでのビオトープとはビオトープの意味のページで説明した「生物の生息空間」です)

参考:ドイツのビオトープについて詳しく書かれているサイト⇒ドイツ環境情報のページ

 

日本では1990年代頃から、小・中学校の校庭に自然風の水辺を作り、そこに生息する生態系を観察するといった環境教育の場としてビオトープ作りが流行しはじめ、今では「水と緑による癒しの空間」として一般家庭のお庭にビオトープを作り親しまれるケースの方が圧倒的に多くなりました。このように、ドイツのビオトープが自然の復元を目的として始まったのに対し、日本におけるビオトープは環境教育の場、癒しの環境作りというような目的が先行したようです。日本でビオトープと言えば「自然風の水辺」と一般的に認知されるようになったのはこのような経緯が理由なのかもしれません。

さて、ビオトープという言葉がドイツから伝わるまで、日本にビオトープの作り方に関する情報はありませんでした。そこでビオトープ先進国であるドイツから資材を輸入し見様見真似で作り始めた、というのが日本におけるビオトープ作りの始まりのようです。つまり、ビオトープ作りで失敗しないためのポイントと注意点のページでトラブルの原因として説明している「防水シートを使用して水を溜めるだけ」という作り方はドイツから伝わったようなのです。「ビオトープの先進国であるドイツから輸入されたものだから大丈夫だろう」と信頼して、日本でもこの作り方を真似してビオトープを作られた方が多くいるようですが、水漏れや水質汚濁等のトラブルが多発しているのが現実です。ここで疑問に思うのは、本当にこのような作り方をしてドイツでは問題は起きないのか?ということです。

その答えは、ドイツと日本とでの環境(気候風土、水質、土質、生態系の種類)の違いにあります。ドイツは緯度で見ると北海道と同じかやや北にあたるため、気候は北海道に似ているようです。冬が長く、日照時間も短いようで、日本のように夏場は35℃を超える日が続くということもありません。又、ドイツの水はミネラル(カルシウムやマグネシウム)が豊富に含まれた硬水で、水道管、湯沸かし器、コーヒーメーカーなどはミネラル分が付着して真っ白になってしまい、お風呂のシャワーもミネラル分で詰まってしまうそうです。(このミネラル分とは、水質浄化剤に多く含まれる成分です。)

これだけ温度や日照時間に差があり、水質浄化に必要なミネラル分を豊富に含んだ水を使用しているのであれば、ドイツのビオトープでは水を循環させたり水質浄化をしなくても常に澄んだ水質を保てるのでしょう。又、豊富なミネラル分を含んだ水や土質は、カルシウムによる石灰化で水の浸透を防ぎ、シートのような簡易な防水でも水漏れのトラブルは発生しないのでしょう。

このように、日本の環境と全く異なるドイツのビオトープと同じ作り方を真似しても上手くいかないのは当然のことなのです。日本でビオトープを作るのであれば、日本の環境に適合した作り方(設計・資材の選択・維持管理)をする必要があるのです。

ドイツ ビオトープ.jpg

       ドイツと日本は風土が異るため、ビオトープの作り方も異なる

ビオトープ作りで失敗しないためのポイントと注意点

アクアフォレストが作るビオトープのテーマは「水と緑で人を癒す空間」です。もし自分のお庭にビオトープを作るのであれば、画像のように透明で清らかなビオトープをイメージされるのではないでしょうか。

ビオトープ 

  ビオトープユニット®を使用して作られた透明で清らかなビオトープ  

 

仮に、濁って臭い水、ぼうぼうの雑草、蚊がブンブン飛び回るようなビオトープがあったとしたら、そこは人が癒される空間にはならないでしょう。ビオトープは美しくなければ作る意味がないのです。

ビオトープ 

           これがビオトープ???     

 

しかし、美しいビオトープを人工的に作ろうとすると諸々の条件をクリアしなければなりません。DIYしようといろいろと材料を買い込んでみたものの思ったより手間がかかりうまく作れなかった、なんとか作ってみたもののトラブル続き、という話を良く聞きます。以下にアクアフォレストに寄せられるトラブル相談ベスト3を挙げてみました。 

 

1位・・・水が漏れて水道代が莫大になってしまった。

2位・・・アオコで水が濁ってしまい生臭い。

3位・・・ボウフラが沸いて蚊が大量発生してしまった。 

 

これらのトラブルが発生するビオトープに共通するのは、防水シートや遮水シートと言われるものを敷いた上に単に水を溜めて魚や植物を入れただけという簡易な方法で作られたものです。これらは「水たまり」や「泥沼」の状態であって、ビオトープといえるものではありません。学術的に見れば、ボウフラや蚊であっても生態系が存在すればビオトープなのかもしれませんが、不衛生で人にストレスを与えるような環境は、人が鑑賞して楽しむことを目的としたガーデニング分野のビオトープとはいえません。「ビオトープには自然の浄化作用があるから水を溜めて放っておけば大丈夫。濾過や水の循環は必要ない」というのは、巨大な大地で濾過され湧き出た水と、バランスの取れた生態系によって構成されている自然界のビオトープのお話。人工的に防水して大地と遮断された貯水槽を作り、そこに貯めた水を繰り返し使用しなければならないというお庭のビオトープとは根本的に構造が異なりますので、これらの理屈は通用しません。自然界のビオトープとガーデニング分野のビオトープでは目的や仕組みが全く異なるということを忘れないでください。どんな作り方をしても完成した直後はそこそこきれいな状態を保ちますが、そのまま放っておけば、ほとんどの場合数ヶ月後には無残な姿になってしまいます。

参考までに、アクアフォレストのビオトープ作りで特に大切にしている3つのポイントをご紹介します。 


@ 防水 

劣化やひび割れなどの心配がなく、半永久的な防水性、耐久性を備えていること。

A 水質維持

アオコやボウフラの発生が無く、常に清らかな水質を維持できる水質浄化機能を備えていること。

B デザイン

見る人が癒される美しいデザインを備えていること。

 

更に、近年では屋上やベランダにビオトープを作るケースが多くなりましたが、その際は上記に加え「軽量性」が重要になります。ベランダや屋上の耐積載荷重は180kg/u程度ですが、あまり高重量な資材を使用したり、水深を深くし過ぎたりすると(水深20cmで200kg/uになります)積載荷重制限をオーバーしてしまい、大変危険ですので注意が必要です。

ビオトープ ベランダ

ビオトープユニット®を使用してベランダに作られたビオトープ(滝と小川)  

 

いつも清らかで美しいビオトープを楽しむには日頃のメンテナンスが必要なのは勿論ですが、最も大切なのは、ビオトープを観賞して楽しむという目的に必要なポイント(防水、水質維持、美しいデザイン等)をしっかりと押さえた設計がなされていることです。ビオトープは完成してから一度水を溜めてしまうと改修が困難ですし、後になって改修してもトラブルを解決しきれない場合もあります。ビオトープ作りを始める前に「人が観賞して楽しむ」という本来の目的に見合った適切な設計からスタートすることが失敗しないビオトープ作りの第一歩です。 

正しい情報の見分け方

<インターネットの情報>

インターネット上にはビオトープの作り方に関する様々な情報が溢れています。Q&A形式の掲示板等を見ると、明らかに専門家が書いたものではないなと思われる回答が多く見られます。掲示板の回答者は匿名ですのでどれだけの経験や技術を持っているのかも分かりません。専門家から見れば「これはマズイぞ!?」と思うような情報も多く含まれています。参考:Yahoo!知恵袋(ビオトープの作り方)

このような情報を参考にしてビオトープを作ってみたところ上手くいかなかったという人がほとんどです。インターネットの情報を参考にするのであれば、その情報源がビオトープ作りの専門家のものであるかということを確認してからにしてください。出所のわからない情報は参考にしない方が安全です。

ここでいうビオトープ作りの専門家というのは、○○大学の教授、××評論家という人達のことではありません。日常的に実際にビオトープを作っている「施工のプロ」のことです。どんな分野でも同じですが、実際に手を汚し経験を積まなければわからないことがたくさんあります。机上の勉強や情報の寄せ集めだけではビオトープ作りは上手くいきません。

 

ビオトープ 専門   所沢ビオトープ縮小.jpg

                       正しい情報は「施工のプロ」から

書籍の情報> 

インターネットと比べ、ピオトープ関連の書籍は非常に少ないのが現状です。ベストセラーにもなったあるビオトープ関連の書籍を見ると、植物や生物の事に関しては大変詳しい情報が載っているのですが、防水に関しては「ブルーシートを敷く」という情報しか載っていませんでした。(防水シートを使用した方法のページに詳しく書きましたが、ブルーシートではビオトープの防水はできません)

この本を読んだある小学校の子供たちは、「こんなに安くて簡単にビオトープが作れるんだ」と、ブルーシートを購入してビオトープを作ったそうですが、すぐに水漏れしてしまい、水を貯めることもできずに撤去することになったそうです。

決して著者を非難しているのではありませんので誤解しないで欲しいのですが、著者の経歴を見るとテレビで講演されたりと高名な方のようです。植物や生物に事に関しては素晴らしい情報を発信されているのですが、実際にビオトープ作りを行っている「施工のプロ」ではないようです。そのため、防水の事に関しては知識が不十分だったのでしょう。書籍を参考にするのであれば、著者の経歴から植物や生物の専門家なのか、施工の専門家なのかを見極め、その専門分野の情報だけを参考にした方が間違いありません。 

在来種と外来種について

最近のホームセンターや園芸店には、思わず手にしたくなるような美しい草花が売られていますが、良く見るとこれらの70%以上は外来種です。一般の人が在来種を購入しようとしても入手しにくいのが現状です。

外来種

    園芸店で売られている美しい草花。その多くは外来種

 

下の画像は国営ひたち海浜公園にあるネモフィラの丘に訪れた時のものです。この公園は国営なのですが、北アメリカ原産の外来種ネモフィラが450万本も植えられています。ネモフィラが咲く季節には多くの人が観光に訪れ、時には結婚式を挙げるなどして人々の憩の場所として親しまれています。園内を散策すると、蝶々が舞い、心地よい小鳥のさえずりが聞こえてきます。広義でいえばこの公園もビオトープと言えるのでしょう。このような美しい風景を見て「外来種を植えてはいけない」と文句を言う人は誰もいません。 

ネモフィラの丘.JPG

         美しく咲き誇るネモフィラの大群

 

このように、国営公園であっても外来種の植物を上手に活用し、美しい環境作りと憩いの場の創出に成功しています。しかしながら、「ビオトープに植える植物は在来種でなければならない」というような議論を今でも耳にすることがあります。「自然環境保護」と「ガーデニング」でのビオトープの違いのページで詳しく説明しましたが、自然環境の保護や復元を目的としたビオトープとは異なり、人の憩いや鑑賞を目的とした公園やお庭などのプライベート空間に作るビオトープに何を植えるかは作る人の自由ですので、このような議論は全くのナンセンスです。

時々お客様から「ビオトープにはどんなお花を植えたら良いのでしょうか?」と聞かれることがありますが、アクアフォレストでは「自分の好きなお花を植えるのが一番良いですよ」と答えています。冒頭で説明しましたとおり、外来種と比べ在来種の植物は種類が少ないのが現状です。無理をして在来種のみを植えてみたところ、華やかさに欠け、庭全体が陰気な雰囲気になってしまうこともあります。最近ではモダンなデザインの建物やお庭が主流となってきましたので、その雰囲気に合うように外来種を上手に取り入れてあげることも美しいビオトープを作るコツです。(勿論、「自分のお庭で自然環境保護活動を行いたい」という人にこのようなアドバイスは致しませんが、そのような人とこれまでお会いしたことはありません)

注意:学校ビオトープを成功させるためのポイントのページで説明した通り、自然環境の学習を目的としたビオトープには基本的に外来種は植えません。

参考:環境省のホームページ     

学校ビオトープを成功させるためのポイント

学校にビオトープを作る目的は、自然環境の学習、コミュニティスペース作り、校庭の美化等、いろいろあるようですが、一般的には「自然の美しさや生態系の尊さを学ぶ情操教育の場」として利用されているケースが多いようです。

これまでこのサイトでは、「ガーデニング分野でのビオトープにおいてはどんな植物を植えるか、どんな魚を入れるかは作る人の自由」と紹介してきましたが、教育目的のビオトープとなると少し意味合いが違ってきます。子供たちの安全確保が最優先である学校や幼稚園におけるビオトープ作りの基本は、人間ファーストのガーデニング分野ということになりますが、 学校では日本古来の自然環境を学ぶことになりますので、その場合は植物、魚、デザインに至るまで、日本に在来するものに限定されます。

それでは学校における理想的なビオトープ作りとはどのようなものなのでしょうか?よくある学校ビオトープ作りのパターンを大きく三つに分けて説明します。

 

@児童参加型

児童が主体となり、教員が指導しながら施工(穴掘り、防水、植栽)を全て行う。

 

A専門家にお任せ型

ビオトープの施工は専門家が行い、完成後の維持管理は児童が行う。

 

B専門家と学校の連携型

専門家指導の下、学校の教員、PTA、父兄が連携して施工を行い、維持管理は児童が行う。

  

このように比べて見ると、@児童参加型が一番望ましいように思えるのですが、残念ながらこのパターンで上手くいったケースを見たことがありません。なぜなら、児童参加型では単に穴を掘って水を貯めた、という簡易な作り方しかでないからです。ビオトープ先進国ドイツとの違いのページで説明したとおり、ドイツと日本では風土が異なりますのでこのような作り方をしてもうまくいきません。

日本でビオトープ作る場合には防水と水質浄化の技術が必須となるのですが、この重要な部分を念頭に置かずに子供達にビオトープを作らせた結果、上手くいかずに仕方なく撤去したという話を良く聞きますが、これでは本末転倒、お金と時間を無駄にし、子供達に悲しい思いをさせるだけです。専門家から言わせていただければ、ビオトープ作りには専門家にしか分からないノウハウがありますので、子供達だけでビオトープを作らせることは不可能です。

お勧めなのは、A専門家にお任せ型B専門家と学校の連携型のどちらかです。防水や水質浄化等の重要な構造部分の施工は専門家と学校が担当し、草花の植栽、魚の放流、ビオトープの管理等は児童が担当する、という具合に、専門家や大人にしかできないこと、子供にもできることを良く理解したうえで、それぞれの役割を明確に分担することです。これが学校ビオトープ作りを成功させるためのポイントなのです。

 

ここである学校(群馬県高崎市立南八幡小学校)でのビオトープ作り成功事例をご紹介します。

この小学校には元々ビオトープがあったのですが、10年以上前に作られたもののようで、現在は防水シートに穴が空き水も貯まらず、木製の橋は朽ち果て、なんとも無残な姿となっていました。そこで子供たちのためになんとか再生できないかということで、PTAの皆様が主体となって再生計画を考えました。

ビオトープ 学校 学校 ビオトープ

          木製の橋は朽ち果て、防水シートには穴が空き水が貯まらない状態

 

PTAの会長は、再生するのであれば同じような失敗を繰り返さないようにと考え、インターネットで情報収集を開始しました。その中で当社のこのページが目に留まり、隅から隅まで熟読されたそうです。その結果ビオトープ作りの難しさを痛感され、当社にご相談のご連絡をいただきました。ヒアリングを行うため学校に訪問し、元々あったビオトープの状態を拝見したことろ、十年以上前に作られたものであったため防水や水質浄化の技術面は不十分でしたが、全体のデザインは素晴らしく、できればこのままの形で再生できるのが一番良いと考えました。しかし、この学校のビオトープの規模は非常に大きく、工事の全てを当社で請け負うには予算が足りません。そこで、当社は現場の形状に合わせたビオトープユニット(成型池、成形小川、成形滝)のみを製作し、ユニットの設置と植栽作業は当社指導の下で学校側で行うという「専門家と学校の連携型」を提案し、ビオトープの再生を行うことにしました。

ビオトープ 作り方 学校学校 ビオトープビオトープ 学校

              専門家と学校との連携によるビオトープ作り

 

そして、二月の寒い時期にも関わらず、校長、教頭、教員、PTA、父兄の皆様によるビオトープ再生隊が集結し、延べわずか5日(延べ作業人数75人)で素晴らしいビオトープが完成しました。

限られた予算の中でこのような素晴らしいビオトープを完成させることができたのは、PTAの会長が事前にしっかりと情報収集をしたことによりビオトープ作りの難しさを良く理解され、防水や水質浄化等の専門的な分野は当社にお任せし、学校側で出来ることは自分たちで行う、というように明確な役割分担を行ったからに他なりません。

ビオトープ 小学校 学校 ビオトープ 池

             美しく再生した南八幡小学校のビオトープ

 

学校・幼稚園向けビオトープ製作の詳しい情報はこちら

ビオトープ作りでやってはいけない三原則

せっかくビオトープを作ったのに半年後にはドブのように無残な姿になってしまった、という話を良く聞きます。インターネット上にはビオトープの作り方に関する様々な情報があふれていますが、その中には誤った情報や迷信が多くあり、これらを鵜呑みにして手探りで作ってしまったのが原因というケースがほとんどです。ビオトープは一度作って水を溜めてしまうと後で改修するのは困難です。せっかくお金をかけて作ったのに結局取り壊しすることになってしまった、というような悲しい思いをしないために、ビオトープ作り専門のアクアフォレストがこれまでの経験から培ったビオトープ作りでやってはいけない三原則をご紹介します。

 

<目次> 

土を入れる

溜池状態にする

メンテナンスをしない

やってはいけない三原則その1 「土を入れる」

  濁ったビオトープ

写真のように泥で濁ったビオトープを良く見かけます。濁りの原因は言うまでも無くビオトープの中に土を入れているからです。どうしてわざわざ濁りの原因となる土をいれるのでしょうか?理由を聞くと

・水を浄化するため 

・水生植物に栄養を与えるため

・自然と同じ雰囲気にするため 等々 

「ビオトープには水質浄化作用がある」と言われますが、多くの人がこの意味を誤解しているようです。特に「土の中にいる微生物(バクテリア)が水質浄化する」という情報を取り違えているケースが多いようです。

そもそも自然界のビオトープ本来の水質浄化機能とはどういうものなのでしょうか。

自然界のビオトープの水源となる雨や雪は、大気中のちりやほこり、酸性雨の原因となる窒素やリンなど、様々な物質を取り込みながら地上に降り注ぎ、大地へと浸透されていきます。降水はスポンジフィルター状の土壌を通過し高地から低地へゆっくりと流れていく過程で物理的にろ過され、徐々に清澄な水になっていきます。これを「物理ろ過」といいます。(図1)

更に、水質汚濁の原因となる窒素やリンなどは、植物やバクテリアの養分として吸収し、代わりにミネラル分(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)を水に含ませながら水質浄化されていきます。これを「生物ろ過」といいます。(図2)このような自然のしくみは専門用語で「水源かん養機能」といいます。

        図1

         図1 水源かん養機能のしくみ(出典:社団法人日本水道協会 

 

   図2

          図2 水源かん養機能による水質浄化効果(出典:林野庁

 

つまり、自然界のビオトープ本来の水質浄化作用とは、大地からなる巨大なろ過装置の「物理ろ過」「生物ろ過」という2つの工程を経てはじめて実現するものなのです。長野県の安曇野、山梨県の忍野八海などで見られる美しい湧水郡は、このように大地でろ過された水が低地に現れたものです。単に雨水が溜まってできた「水溜り」や「沼」が濁っているのは、このような水質浄化作用を経ていないからです。

ビオトープ 湧水池 

   自然の水質浄化作用を経た清澄なビオトープ(静岡県柿田川湧水郡)

 

それでは自然界のビオトープと、お庭に人工的に作るビオトープのしくみを比較してみましょう。お庭にビオトープ作る時には、水を溜めるために成型池などを用いて防水層を作らなければなりません。防水層を作るということは、そこで大地と遮断されるということですので、先述のような自然の物理ろ過、生物ろ過作用も遮断されてしまいます。つまり、人工的に作られたビオトープには基本的に水質浄化機能はありません。そこで、「土の中には水を浄化するバクテリアがいる」というネットの情報を鵜呑みにし、土や荒木田(田んぼの土)をビオトープの中に入れれば水質浄化(生物ろ過)されると思っている人が多いのですが、これが大きな間違いなのです。そもそも荒木田等の土は水質浄化を目的としたものではなく、稲や植物を育てることを目的とした栄養満天の土なのです。確かにバクテリアも含まれていますが、それ以上に水質を悪化させる元となる肥料分(窒素やリン)が大量に含まれていますので、水質浄化に利用できるシロモノではありません。つまり、水質浄化のためにビオトープに土を入れるということはまったくの逆効果で、むしろ水質悪化の原因となるのです。アクアフォレストのビオトープがいつも清澄な理由の1つは、土を絶対に入れないからです。

それではどうしてこのような誤解が生まれてしまったのでしょうか。確かに稲を植えたばかりの田んぼの水は澄んでいることが多いのですが、これは単に土が沈殿して澄んでいるだけで、まだアオコが発生する前の状態です。田んぼを良く見ると20cm位の間隔でびっしりと稲が植えられており、荒木田の栄養分をぐんぐんと吸収しています。更に、成長した稲は水面が見えなくなるほど穂が生い茂らせますので、日光を遮光して藻類の光合成をブロックしてしまいます。このように稲をびっしりと植えた状態だからこそ、栄養分たっぷりの田んぼでもある程度きれいな水質を保てるのでしょう。仮に稲を植えずに水だけを張った状態にしておけば、いずれアオコが大発生することになるでしょう。

 

田んぼ ビオトープ 田んぼ アオコ

            田んぼの水は最初は澄んでいてもいずれアオコが発生する

 

それでは、お庭のビオトープに土を入れるとどうなるでしょうか。完成して2〜3日すると水が澄むことがありますが、それは稲を植えた直後のように単に泥が沈殿しただけの状態。バクテリアが繁殖して水質浄化を始めるまでには1カ月位かかりますので、その間水の中には栄養分がタップリと含まれており、藻類が大繁殖するには最高の環境です。栄養分を吸収させるために水生植物を植えるにしても水面が見えなくなるほど植えるわけにもいきません。そうすると、水生植物が吸収しきれない栄養分と光合成により藻類が大繁殖を開始し、いざバクテリアが活動を始めても水質浄化しきれずに水は濁ったまま、という結果になるわけです。インターネット上では「赤玉土を熱湯で消毒してから使う」というような情報もありますが、確かに赤玉土はほとんど栄養分が含まれていないため富栄養化を引き起こすことはないのかもしれませんが、一たび土が溶け出せば味噌汁のように濁った状態となってしまい、魚を鑑賞して楽しむこともできません。「ビオトープ用の土」なる商品も売られているようですが、「土」である以上何を使用しても同じです。アクアフォレストのお客様の中にも商品名につられて「これなら大丈夫だろう」と思いネットで購入しビオトープに入れてしまった方がいたのですが、途端に水が濁りはじめたとの連絡をいただいたことがありました。

ビオトープには、魚の排泄物を栄養にしてプランクトン(微生物)が繁殖する⇒魚はそのプランクトンをエサとして消費する⇒更に水生植物が余分な栄養分(リンや窒素等)を吸収して育つ、というサイクルによって水質浄化されるのですが、土を入れたことによってサイクルのバランスが崩れ(冨栄養化)植物性プランクトン(藻類)が過剰繁殖して水を濁したのでしょう。一般的に水生植物は土の入った鉢に植えられて販売されていますが、これは生産業者が水生植物を効率よく生産するために栄養分たっぷりの土を使用しているのであって、そのままビオトープに入れてしまえば途端に富栄養化を引き起こしてしまいます。先述の通りビオトープの水中には適度な栄養分がありますので土が無くても水生植物は十分に育ちます。むしろ、ビオトープのサイクルバランスを崩さないよう、水生植物の根に付いた土を良く洗い流す必要があるのです。

そして何よりも問題なのは、土を入れたビオトープには循環用の水中ポンプを設置しても土を吸い込んですぐに故障してしまうため、水の循環ができないということです。遮水シートを敷いてその上に土を被せる、という簡易な方法でビオトープを作ってみたがアオコが発生してしまい困っている、という方からご相談を受けたことがあるのですが、「なぜそのような作り方をされたのですか?」と質問したところ、遮水シートをネット販売するある業者のサイトに「遮水シートの上に土を被せる」という施工方法が紹介されているそうです。更にその中には「水の循環はせず水たまり状態で良い」「いつも水が澄んでいる必要はない」「電気代が掛かるから循環用ポンプは使用しない方が良い」「少しくらいアオコが発生しても気にしなくても大丈夫」等々、ビオトープの専門家から見れば恐ろしくなるような情報がたくさん載っているそうですが、 これらの情報を鵜呑みにしたままビオトープを作ってしまい、このような結果になった、というわけです。ビオトープに発生するアオコの毒性についてのページで詳しく説明しましたが、アオコには毒性がありますので、子供やペットが触れる可能性のあるガーデニング分野のビオトープでは絶対に発生させてはなりません。そのためにはやってはいけない三原則その2 「溜池状態にする」で詳しく説明しました通り、衛生的なビオトープを作るには水を濾過するための循環は必要不可欠であり、そのためにも土は絶対に入れてはいけないのです。「少しくらいアオコが出ても気にしなくて大丈夫」などという誤った情報を発信しながら遮水シートなるものを販売する業者がいるのであれば、ビオトープを作るお客様側の安全性や利益を考えていないのでしょう。正しい情報の見分け方のページでご紹介しました通り、ビオトープ作りで失敗しないためには、ビオトープ作り専門のプロから情報を得るのが間違いありません。

 

ビオトープに土を入れるということは、誤ったネット情報から広まった迷信であって、全く理にかなっていないという事がご理解いただけたでしょうか?自然な雰囲気にしたいのであれば、森の中にある澄んだ水辺を良く観察してみましょう。きれいな水質を保っているビオトープには必ずせせらぎがあります。湧水や清流の底を見ると、濁りの元となる土や泥はせせらぎに押し流され、底には石や砂が残されています。美しいビオトープを作りたいのであれば、土ではなく、小石を敷くのがベストです。(砂は水中ポンプを詰まらせる可能性があるのでお勧めできません)ビオトープの水には魚の排泄物や落ち葉などから作られる適度な栄養分が含まれていますので土が無くても水生植物は十分に育ちます。ビオトープに使用する小石は吸水性が高く、表面に細かな凹凸があるものを使用するとバクテリアが繁殖しやすく水質浄化により効果的です。

  ビオトープ 池

          土を入れないことが澄んだビオトープ作りのポイント

やってはいけない三原則その2 「溜池状態にする」

いつまでも濁ったままのビオトープに共通するのは、防水シート等を敷いた上に単に水を溜めて魚や植物を入れただけ、という作り方です。「ビオトープには自然の浄化作用があるからろ過や水の循環は必要ない」というのは前項で述べたように、大地からなる巨大なろ過装置を備えた自然界のビオトープのお話。防水シート等で大地と遮断し、限られた水を繰り返し使用しなければならないお庭のビオトープとは根本的に構造が異なりますのでこれらの理屈は通用しません。人工的に作るビオトープには自然の水質浄化機能はありませんので、「物理ろ過」と「生物ろ過」のしくみを人工的に備えてあげなければなりません。ビオトープの底に小石を敷いてしばらくすると水質浄化してくれるバクテリアが自然に住み着いてくれますが、これだけで水が浄化されるわけではありません。バクテリアが住み着いた石は優れたろ材となりますが、このろ材を水が通過することではじめて浄化されます。そこで水の循環が必要になるというわけです。水の循環は滝や小川のように高低さのある流れを作るのがベストですが、池だけの場合は湧水や噴水のようなものを作り、池全体に水が行き渡るように循環させるのがポイントです。

ここまで述べたのはバクテリアを利用した「生物ろ過」のしくみです。生物ろ過は水中に溶け込んでいる目に見えない栄養分を分解するもので、水中に浮遊する藻類やゴミまでは取り除いてくれません。これら比較的大きな浮遊物をフィルターのようなもので物理的にキャッチして取り除くのが「物理ろ過」です。自然界のビオトープには大地という巨大なフィルターを備えていますが、お庭に作るビオトープには人工的にろ過フィルターを取り付けてあげる必要があります。フィルターは水中ポンプの取水口まわりに設置すると効率が良く、ポンプの詰りも防止できます。

ビオトープ(湧水池)

        水の循環機能を備えたビオトープ(湧水の心池) 

やってはいけない三原則その3 「メンテナンスをしない」

これまでの説明で、お庭のビオトープには人工的な水質浄化のしくみが必要であることがご理解いただけたと思います。そのしくみの1つとして、水を循環させるためのポンプが不可欠なのですが、機械である以上定期的な点検やフィルターに蓄積した汚れの除去等の手入れが必要となります。一般的な水中ポンプの保証期間は一年程度間ですが、沈殿物を取り除いたり、フィルターの掃除をまめに行うことで寿命を大きく延ばすこともできます。最近では便利なお掃除グッズも販売されていますので、このようなものを利用すればお手入れもさほど大変ではありません。アクアフォレストのアトリエに設置してある滝の水中ポンプはもう7年も経ちますが、まったく故障することなく動き続けています。

お庭のビオトープにノーメンテナンスはありえません。「ビオトープなのだから放っておけば良い」というのは人間の都合の良い解釈から生まれた迷信です。花壇でお花を育てるのと同様に、ビオトープも愛情込めて手入れしてあげるほど美しい状態を保てるのです。

フィルタービオトープの掃除風景

     愛情込めたお手入れが美しいビオトープを保つ秘訣

ビオトープ作りを成功させるための三原則

近日公開 。しばらくお待ちください。

せせらぎのビオトープ

ビオトープの防水方法

ビオトープ作りの第一ステップとして、水を貯めるための「防水」を行う必要があります。防水の仕方は大別して三つの方法がありますが、このページでは防水方法別にメリットや注意点を説明します。

<目次> 

防水シート(遮水シート)を使用する方法

コンクリートやモルタルを使用する方法

樹脂製の成型池を使用する方法 

防水シート(遮水シート)を使用する方法

樹脂性の防水シート(遮水シート)はネット通販やホームセンターなどでも手軽に購入でき、自由な形にデザインできるというメリットがあります。非常に安価であることからDIYでビオトープを作る時に多く利用されています。参考:楽天市場(ビオトープ 防水シート)

「ブルーシート」を防水シートの代わりに使用しているケースを時々見かけますが、ブルーシートに防水性能はありません。石の角や水生植物の根で簡単に穴が開いてしまいます。

防水シートはDIYやイベント等で短期的に使用するのであれば問題ありませんが、長期的に使用したり、屋上やベランダで使用するとなると注意が必要です。アクアフォレストにはいろいろなお困り相談が寄せられるのですが、中でも「防水シートを使用したら一年後には水漏れしてしまったので作り直したい」という相談が圧倒的に多いのが事実です。現場に行って状況を見ると、石などの硬い物で傷付けられたのかパックリと穴が開いていたり、凍結の繰り返しにより劣化したのかパリパリに硬く変質してヒビ割れしています。防水シートを保護するためか上からモルタルを塗ってあるケースもありますが、樹脂製のシートにモルタルは付着しませんので、よほど厚みが確保されていないと地震などで地面が動けばすぐにひび割れし剥離してしまいます。こうなるとモルタルを撤去して最初から作り直さなければなりません。又、防水シートの下に保護用と思われる古毛布を敷いてあったり、防水シートの上に大量の土や石が被せてあったりする場合もありますが、撤去するのに大変な労力と費用がかかってしまいます。何よりも問題なのは、防水シートの上を土で覆ってしまうと水を循環させるポンプが取り付けられないため、あっという間にドブのような汚い姿になってしまうということです。※詳しくはビオトープ作りでやってはいけない三原則(土を入れる)のページへ

 

   水漏れ学校 ビオトープ

           防水シート破れて水が溜まらなくなったビオトープ

 

当然のことですが「防水」というビオトープにとって最も重要な部分の材料を選択する際は、石などの硬い物に接触しても破れたりしないか、冬に凍結しても劣化しないか、水漏れした時の保証はついているか等のポイントを事前にメーカーに確認すべきです。(ちなみに、防水シートの耐久性は1〜2年、水漏れ保証は無し、というのが一般的なメーカーのスペックです。)

アクアフォレストがこれまでに培った経験では、ビオトープの防水材料に必要な要素は「針を刺しても穴が空かないほど硬く、尚且つ地面の動きに追従できる適度な柔軟性を備えていること」です。これらを満たす防水材料は今のところFRP(ガラス繊維強化プラスチック)しかありません。ちなみにアクアフォレストでは、FRPの表面を天然石で被覆して更に耐久性を高めた「ハイブリッドFRP」という材料使用しており、水漏れ保証できるだけの耐久性を確保しています。

なぜここまで、防水シートを使用することに慎重になって欲しいのかというと、これまで数えきれないほど水漏れトラブル相談を受け、実際に水漏れした現場を見てきたからです。防水シートを悪者にするつもりはありませんが、現在販売されている防水シートや遮水シートといわれる資材は耐久性が不十分と言わざるを得ません。

冒頭で説明しましたとおり、DIYやイベント等で短期的に使用するのなら良いですが、プロが作るような恒久的な耐久性のあるビオトープ作りに使用すべきものではありません。防水シートを使用するという工法は、ビオトープ先進国ドイツから伝わってきたようですが、「ビオトープ先進国ドイツとの違い」のページで詳しく説明しました通り、ドイツとは環境が異なる日本では防水シートを使用する工法は適さないのです。

コンクリートやモルタルを使用する方法

東日本大震災の後、震源地から遠く離れた東京近郊において「コンクリート製の池がヒビ割れした。水漏れしたので作り直したい」という相談が何件かよせられました。ビオトープの防水材料には、高い性能(非吸水性・高強度・高耐久性)が求められます。水が漏らないように吸水しないことは当然ですが、地面は常に動いていますので、これに耐えられるだけの強度と耐久性がなければすぐにヒビが入り水漏れしてしまうのです。  

モルタルやコンクリートで作ったビオトープは耐久性があり水が漏らない、と思われている人が多いようですが、ビオトープ作りの材料としてはお勧めできません。

なぜなら、これらの材料には以下の特性があるからです。

@柔軟性が全くない(地震など地面の動きに追従できずにひび割れする)

A収縮する(長期的に少しずつ収縮してひび割れする)

B強アルカリ性である(ph14の強アルカリ成分を溶出して魚や水生植物にダメージを与える)

C吸水性が高い(もともと防水を目的とした材料ではない)

 

「だけど温浴施設の浴槽はコンクリートで作られているじゃないか」という人がいますが、これらの内部にはゴムやアスファルト系の強力な防水材が入っており、その上に鉄筋で頑丈に補強された分厚いコンクリートで作られています。更にその表面にはタイルを張り、アルカリ成分が溶出しないように仕上げています。タイルの目地はひび割れすることもありますが、定期的にメンテナンスして補修されています。このように厳重な作り方とメンテナンスをしているからこそ水漏れすることもなく、アルカリの溶出もないのです。ビオトープもこのような方法で作るのであれば問題ないのかもしれませんが、莫大なコストがかかってしまい現実的ではありません。コストを下げるために、鉄筋も入れずにただモルタルを塗り付けただけという作り方ではすぐにひび割れし水漏れしてしまいます。

一般の人にはコンクリート、モルタル、セメントの違いが分からないかもしれませんので簡単に説明しますと、セメントは灰色でサラサラした粉体。モルタルはセメント+砂、コンクリートはセメント+砂+石、という配合に水を混ぜて固めたものです。一般的に造園業者等が現場で練りコテで塗っているのは「モルタル」です。これらは強アルカリ性(PH14)の素材ですので、水中にアルカリ成分が極力溶出しないように注意しなければなりません。

 

ひび割れ

         地面に直接塗ったモルタルのひび割れ

 

「モルタルはただ水を加えて練ればガチガチに固まる頑丈で安全な材料だ」という認識は間違いです。少し専門的な話になりますが、モルタルの品質を決めるのに最も重要なのは、練り水の比率(W/C%)なのです。練り水は少ないほど硬化後のモルタルは緻密となり強度・耐久性・防水性がともに高まります。同時にアルカリの溶出も最小限にとどめられます。逆に、練り水が多くなるほどモルタルは多孔質になり強度・耐久性は低下し、防水性も失われていきます。(練り方によっては軽く叩いただけで割れてしまうモルタルができることもあります)アルカリを溶出しやすくなるため水質も悪化します。

 仮にモルタルを使用するのであれば、練り水比(W/C)を30%以下に抑えなければ長期的な耐久性や防水性、低アルカリ性は期待できません。しかしこのようなモルタルは、管理された専門の工場で原料を厳重に計量し、減水剤という特殊な薬剤を混合しなければ練り上げることができません。職人さんらしき人がハカリも使用せず適当に水を混ぜているのを見かけますが、このようなモルタルでは強度や耐久性も乏しいので地面の動きに耐えられず、ほとんどヒビ割れしてしまいます。当然のことながら防水性は期待できません。

これまで説明した内容は造園技術とは異なる専門知識ですので、一般的な職人さんは知識がなくても仕方ないのですが、困ったことにホームセンターで売られている「防水モルタル」という材料を買ってきて、「これを使えば大丈夫」と言って施工してしまう職人さんがいるようです。この「防水モルタル」とは普通のモルタルに樹脂などを配合して防水性を高めた材料なのですが、雨水に晒される屋上やベランダの床を簡易的に防水するための材料であり、永久的な防水を保証できるものではありません。普通のモルタルのように柔軟性はありませんので、ヒビ割れすればすぐに水漏れしてしまいます。地面の動きに影響を受けながらも常に水を貯め、魚や水生植物を生息させるというビオトープに適した材料ではないのです。

 

以上のように、モルタルは一般の人が思っている以上に取扱いが繊細で、物性を安定させるのが難しい材料なのです。モルタル製のビオトープは失敗してしまうと撤去することが非常に困難です。施工には高度な技術と専門知識が必要とされますので、一般の方がDIYすることはおすすめできません。信頼できる業者に依頼し、専門知識を持っているか、ひび割れしないよう補強材(鉄筋等)やクラック防止メッシュがしっかりと入れられているか、十分な厚みが確保されているか、アルカリ成分が溶出しないよう高品質な配合のモルタルを使用しているか等を良く確認することをおすすめします。

成型池を使用する方法

ホームセンターなどで市販されている国産の成型池(心池やひょうたん池)は、回転成型という特殊な製法で製品の厚みが均等になるよう丈夫に製造されています。防水シートのように破れるようなこともなく、地面の動きにもフレキシブルに追従するのでヒビ割れするようなこともありません。なによりも「池」という水を溜める目的で製造されていますので、水が漏れるといった心配は先ずありません。デメリットは、デザインが限られていることと、樹脂の質感が人工的で自然に馴染みにくいことです。

これらの成型池にはポリエチレンという素材が使われていますが、オーダーメイドで作る場合はFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で作られることもあります。注意していただきたいのは、ポリエチレン製は量産品であるため品質が安定していますが、FRPは1点ずつハンドメイドしますので、品質が一定とは限りません。FRPはガラス繊維に樹脂を含浸させながら積層して作るのですが、この樹脂には様々な種類があり、中には外国製の安価で粗悪なものもあります。コストを下げようとしてこのような樹脂で作られてしまうとすぐに紫外線で劣化したり、ひび割れして水漏れすることがあります。又、厚みが薄かったり、表面の仕上げが雑だったりしても水漏れすることがあります。水を溜める目的の成型池に使用できる樹脂の種類は限られており、製造方法にも専門ノウハウが必要なのですが、出来上がった製品の外観を見ても、どのような樹脂を使用し、どのような製法で作られたのかは分かりません。FRPの成型池をオーダーメイドする場合は信頼できる業者に依頼するしかないのですが、池や水槽などを専門に作っているメーカーに依頼することをおすすめします。

ちなみにアクアフォレストでは、FRPの表面に天然石を固着させた「ハイブリッドFRP」という劣化の心配のない材料を用いて池や流れの貯水部分を完全防水しています。これらは管理されたアトリエ内でひとつひとつ丁寧に仕上げてから、現場に運搬し設置するという方法でビオトープを作っています。こうすることで品質が安定し、水漏れなどの心配が無くなるのです。

ビオトープユニット(湧水の心池)設置例2ビオトープ 湧水の心池(j埋設タイプ)ビオトープユニット(湧水の心池)ナチュラルサンド 

                              ハイブリッドFRPで作られた成型池(湧水の心池

ビオトープに発生するアオコの毒性について

アオコとは... 

特に夏場に多く見られる現象ですが、ビオトープの水がお抹茶のように濁った緑色になることがあります。これらの正体は水中の栄養分が増えすぎたために大量発生した浮遊性藻類の一種なのですが、アオコを作る藻類の中にはカビ臭、肝臓毒、神経毒などの有害な化学物質を作るものがありますので、癒しの場としてのビオトープ環境を悪くするばかりでなく、深刻な問題を引き起こすこともあります。実際にアオコが繁殖した水を飲んだ大型動物が死亡する事故も発生していますので、ペットや子供が遊ぶことのあるガーデンビオトープではアオコを発生させないよう十分に注意してください。もしアオコが発生してしまった場合は一度水を抜き、しばらく天日干しするときれいに消滅します。               
             

 更に詳しい情報はこちら⇒ 国立環境研究所のホームページへ

               

アオコ       

        アオコで緑色に濁った池

ビオトープに発生するアオミドロについて

「アオミドロ」はアオコと混同して間違われることがありますが別の物です。アオコは微粒子状の藻体を水中に浮遊させ水を濁すような状態で繁殖するのに対し、アオミドロは綿状の藻体を池底に作り、さほど水を濁すことなく繁殖します。

もし澄んだ水の中にもやもやとした綿状の藻があったら、それはアオコではなくアオミドロでしょう。

 アオミドロ

      澄んだビオトープに発生したアオミドロ

アオミドロにはアオコのような毒性は報告されておらず、適度に繁殖する分にはむしろ正常な状態であり問題ありませんが、異常に発生してしまうと景観を損ねたり、死滅したアオミドロがヘドロ状に蓄積したりといったトラブルを発生させる可能性があります。

アオミドロは少しの栄養と光があれば繁殖でき、更に一度繁殖しはじめると栄養分がなくても繁殖し続けられるようなので厄介です。

下の2つの写真はきれいな湧水で有名な安曇野へ旅行に行った時に撮ったものですが、ワサビ畑の水は澄んだ状態なのに、水路でつながっている隣接の湧水池の方だけにアオミドロが発生しています。水源は同じであるにもかかわらずどうしてこのような違いがでるのでしょうか。ワサビはきれいな水でしか育たず熱に弱いそうですが、ワサビ畑はかなり早い流れで水を循環させており、更に畑の上に黒いネットを張りめぐらせ遮光してありました。一方、湧水池の方は水の流れは緩やかで、周りには日陰を作るような木が少なく常に日光に晒されている状態でしたので、湧水に含まれるわずかな養分と日光だけで少しずつ繁殖したものと考えられます。このようにアオミドロはワサビ畑のような清水でも発生してしまうのですから、ビオトープでアオミドロの発生を防止するにはアオコ以上にしっかりとした対策を施す必要があります。

対処方法としては、アオコと同様にアオミドロが発生しやすい春先から夏の間、水の富栄養化防止と水の循環をしっかり行い、植木の配置を工夫して日光の照射を制限するなどして事前に繁殖を防ぐことが最善策といえます。

安曇野 アオミドロ 

          澄んだ水のワサビ畑                アオミドロが発生した隣接の湧水池

ビオトープに発生するボウフラについて

ボウフラは蚊の幼虫で、名前の由来は全身を使って棒を振るような泳ぎをすることから(地方によってはボウフリ)といわれています。流れのない汚れた沼や池、水たまりや水の入った容器(睡蓮鉢や水鉢)等、一般的に不衛生な水辺に多く発生しますが、流れがある場所には基本的に生息できません。環境の変化には弱く、水質が変化したり、水がなくなったりすると死滅しやすいといわれています。ボウフラに毒性などの有害情報はありませんが、ボウフラの生息=蚊の発生につながりますので、お庭のビオトープにおいては水を循環するなどして極力ボウフラが生息しないよう予防することをお勧めします。

 

         ボウフラ

                  ボウフラ=蚊の幼虫

良い藻・悪い藻の見分け方

ビオトープに発生する藻は大きく分けて珪藻類と藍藻類の2つに分類されます。珪藻類は主に石の表面などに付着し、アユなどの魚が好んで食べる藻です。水質の良い自然の清流にも生息する害のない藻といえます。

一方、藍藻類は主に水中に浮遊して水を緑色に濁し、時には生臭い匂いを発生します。これらは「アオコ」とも呼ばれ、魚にエサを与えすぎたりして水が富栄養化したビオトープなどに発生します。アオコの中には毒素を発生するものもあり、不衛生で有害ですので注意が必要です。(アオコの毒性について詳しい情報はこちら)

「岩に付く藻は大丈夫」「水が緑色に濁りはじめたら注意」と覚えておいてください。

ビオトープの岩に付着した藻類

        ビオトープの石に付着する藻は魚のエサに 

ビオトープでのメダカの飼い方について

「ビオトープといえばメダカ」というくらい定番で多くの人が親しまれていることと思います。ビオトープでメダカを飼う際に1つだけ注意して欲しい事、それは「エサやり」をしないという事です。

ビオトープでメダカを飼い始めたとたんに水が濁り始めることがありますが、これはエサを与えたことによって水が富栄養化し、藻類が繁殖過多になっている状態です。水槽飼育用に市販されている魚のエサの中には水の濁りの原因となる窒素やリンが含まれており、エサを与え過ぎると窒素分のほとんどがアンモニアとして排泄され、そのアンモニア毒でメダカが死ぬこともありますので注意が必要です。

屋内に置かれたガラス張りの水槽内とは異なり、屋外に置かれたビオトープの中には自然に繁殖するプランクトン(藻類)等、メダカのエサとなるものはたくさんありますので、エサを与えなくても餓死することはありません。アトリエに設置してあるビオトープにもメダカが泳いでいますが、一度もエサを与えたことはありませんが元気に泳ぎまわっています。様子を観察してみると、メダカや金魚は石に付着した藻類(コケ)を一生懸命食べて水中を掃除してくれています。つまり、メダカが排泄する→排泄物を栄養としてプランクトン(藻類)が増殖する→増殖した藻類をメダカが食べて水中を掃除する、というのがビオトープ本来の姿(サイクル)なのです。エサやりをするということは、水中の富栄養化と藻類の繁殖過多を招き、ビオトープ本来のサイクルを崩すことに他なりません。メダカが大繁殖してしまったり、アオコが発生して手に負えない状態になってしまった、というトラブルの原因のほとんどは、この「エサやり」です。

メダカを飼う際は、ビオトープが完成して3〜4週間程度そのまま放置し、エサとなるプランクトンが自然に発生するのを待ってから放流することをおすすめします。このようにビオトープ本来のサイクルを作ることにより、人もメダカも快適な環境でビオトープを楽しめるようになるのです。

メダカ

       ビオトープのメダカにエサは与えなくても大丈夫

ビオトープにおける水生植物の育成条件について

水生植物とは、河川や湖沼、池などの水中や水辺に生育し、植物体のすべて、あるいは一部を水に浸けている植物の総称です。水生植物は形態と機能から浮標(浮遊)植物、沈水植物、浮葉植物、抽水(挺水)植物の4種類に分類されます。

ビオトープ 水生植物

 

ビオトープ 水生植物     ビオトープ 水生植物

   浮標(浮遊)植物          沈水植物
   根が水底に固着せず、        植物体が水中に沈み、
   個体全体が浮遊する          水底に根で固着する 

 

ビオトープ 水生植物     ビオトープ 水生植物

      浮葉植物              抽水(挺水)植物
       浅い水中に生え、         根は水底にあるが、                           
            根や根茎は水底にあり、      葉や茎などの植物体の一部が
       葉を水面に浮かべる        水面から外に出ている

 

水性植物を育てるうえで大切なのは、上図に示すとおり各種類に適した水位です。夏期など水温が高くなり蒸発する恐れがある場合は注意が必要です。ほとんどの水生植物は肥料を必要としません。過剰な肥料分は富栄養化となり、アオコやアオミドロ発生の原因となります。水生植物を固定させるためにビオトープの底に荒木田(田んぼの土)を敷くケースを見かけますが、アクアフォレストが一番最初にビオトープを試作した時にこれを行い、アオコやアオミドロが大発生して大変な思いをしたことがあります。水生植物を固定するのは土ではなく、石などを使用することをお勧めします。

水生植物を植栽することで、窒素やリンの吸収、植物体表面に付着した微生物による有機物の分解が期待できます。特に抽水植物は、水質の浄化に役立つとともに魚類や鳥類の繁殖・成育の場にもなります。水質浄化には、栄養分を吸収して繁茂した水性植物を適度に刈り取ることも必要です。

参考:水生植物の販売浅見園のホームページ 

ビオトープの最適な水深について

ビオトープの最適な水深は、目的、水面積、水循環量とのバランスによって異なってきます。(ここでいう「最適」とは、常に澄んだ水質を保てる状態のことをいいます)

これまでの経験では、庭に作る一般的な大きさのビオトープ(1〜2u程度)において水生植物やメダカ程度の小さな魚を観賞するのであれば、水深は15〜30cm程度あれば十分です。(但し貯水量に見合った水の循環と濾過システムは必要です)これ以上深くすると水が汚れやすくなり、メンテナンスも大変になります。流れを作る際も同様で、あまり深くしてしまうと水の動きが消えてしまい、きれいなせせらぎを楽しむことができません。数字の上で15〜30cmというと浅く感じられるかもしれませんが、実際に水を貯めてみると全く違和感がありません。なぜなら、普段目にしている自然界のビオトープを良く観察してみると、その縁部分はエコトーン(緩やかな傾斜)で構成されているため、水深は10〜15cmと意外と浅いのです。

 

自然界のビオトープ

エコトーンで構成されている自然界のビオトープ(水深は10〜15cm程度) 

 

一般的に作られているビオトープは水深を深くしすぎる傾向があり、それが原因となって諸々のトラブルを引き起こしているケースを多く見かけます。 

ビオトープの水質をきれいに保つ重要なポイントとして、池底の石に付着生息する「水質浄化バクテリア」の存在があります。このバクテリアがうまく水質浄化活動するためには「酸素」が必要なのですが、水深が深くなればなるほどバクテリアが生息する底石まで酸素が行き届かなくなり、水質浄化効果は弱くなります。鯉のような大型の魚を飼育する池などの場合は50〜100cmと深くすることがありますが、そのような場合は水面積を大きくし、エアレーションや濾過システムを備える必要があります。一般的に販売されているプラスチック製の成型池(心池やひょうたん池)は水深を30〜50cm程度と深く設計されていますが、その水量に対応できるだけの性能をもった濾過システムを備えなければ、あっという間に水は濁ってしまいます。

インターネットの口コミ等で「水の濁りを防ぐには水深は深いほうが良い」という情報を時々目にすることがありますが、これまでの経験でそのような事実はありません。どうやら常に直射日光に晒されている庭の真ん中にビオトープを作ることを想定し、水温の上昇を防ぐための対策を示しているようなのですが、根本的にそのような場所にビオトープを設計すること自体がトラブルの原因であり、どんなに水深を深くしても澄んだ水質を保つことは困難です。

ビオトープを作る目的が大型魚の飼育であって、水面積と水循環量のバランス、濾過システム、最適な設置場所等がしっかりと設計されている場合を除き、お庭のビオトープでは不必要に水深を深くすることは水を淀みやすくし、アオコを発生させる原因となりますのでお勧めできません。

又、近年ベランダや屋上などの建築物の上にビオトープを作るケースが増えていますが、ベランダや屋上には積載荷重制限(一般的な建物は180kg/u程度)がありますので、あまり水深を深くすると水の重量(例えば水深30cmで水の重量は300kg/uにもなります)だけで積載荷重制限オーバーになることがありますので注意が必要です。

水質維持機能

     澄んだビオトープに適した水深は15〜30cm程度で十分

ベランダ・屋上にビオトープを作る時の注意点

都心部ではヒートアイランド現象の緩和対策や省エネルギー対策としてベランダや屋上に緑化を行い、そこにビオトープを作るケースが多くなりました。屋上緑化やベランダ緑化は建築物の上に植物を植えますので、地上のお庭作りやガーデニングと異なり、以下のような注意点があります。単に土を敷いて植物を植えたりすると大きなトラブルになることもありますので十分に注意しましょう。

<目次> 

積載荷重

防水

防根

潅水

軽量土壌 

積載荷重

屋上やベランダでビオトープを作る時に最も注意して欲しいのは「積載荷重」です。 ベランダや屋上には積載できる荷重に限りがあり、これを無視してビオトープを作ってしまうと大変危険ですので注意が必要です。

一般的なベランダや屋上の積載荷重は約180kg/u程度です。180kgというとかなり余裕があるように思えますが、例えば水深20cm/uのビオトープを作ったとすると、水の重量だけで200kg/u(水の比重1×200mm=200kg)となり、積載荷重オーバーとなってしまいます。ビオトープ本体の重量や、周りに植栽する植物、土、石等の重量も考慮し、ベランダや屋上にビオトープを作る際の水深は10〜15cm程度に設計するのが安全です。

               ビオトープ ベランダ・バルコニー

             ビオトープをベランダや屋上に作る時は「積載荷重」に注意         

防水

当然のことですが、ベランダや屋上でビオトープを作る前に防水は不可欠で、一般的な屋上の防水工事以上に慎重な計画と施工が求められます。一度ビオトープを作ってしまうと、後に雨漏りがしたからといって再度防水工事を行うことは困難ですので、必ず現状の防水診断から入りましょう。

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        ベランダや屋上でビオトープを作る前には必ず防水診断

防根

ビオトープ周りに植栽する植物の根は土壌や植生基盤材を貫通し、酸素と水分のある場所(底部)へと範囲を広げて行きます。その時、防水面を破れば水漏れが発生します。植物の根は亀裂のあるコンクリートや傷ついたシート防水の目地部分等、わずかな隙間でも容易に入り込んでいくため、躯体に達すると構造上大変危険です。こうした問題を防ぐため、防水層の上から防根シートを敷設しなければなりません。防根シートは多くの種類があり、コストによって防根性能も様々ですが、できる限り丈夫なものを使用することをお勧めします。

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             防根シート(エコムガード)

潅水

植物には必ず水が必要です。地上でのお庭やガーデニングよりも、もっと気を配らなければなりません。なぜなら日当たりも良く風通しも良く、乾燥による枯れの心配があるからです。緑地規模や屋上の条件(出入りなど)により、人力での水やりが困難な場合、自動灌水装置を用いた散水方法があります。植物の種類や土壌の保水性に適した水やり頻度と量に合わせて自動で植物に水を与えることができます。

      施工工程

             自動潅水システムを備えると便利

 

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