インターネットでビオトープの定義を検索すると「ビオトープとは生物の住息環境を意味する生物学の用語で・・・」という様な難しい説明がでてきます。参考:ビオトープの定義(Wikipedia)

このような学術的な定義は公共事業等で行われる自然環境の復元や生態系の保護を目的としたビオトープ作りの時に用いられます。これら自然環境保護分野のビオトープでは、むやみに穴を掘って水を溜めたり、外来種の植物を植えてしまったりすると、環境破壊につながる恐れもあるため作り方は厳密に定められており、ビオトープ管理士※など専門家による高度な知識や技術を必要とします。維持管理も難しいので一般の人がガーデニング感覚で庭やベランダに作れるものではありません。                            

「自然環境保護」分野での様々なビオトープ

ビオトープ 森
ビオトープ 滝
ビオトープ 

一方、ガーデニング分野のビオトープは、庭やベランダなどのプライベートな人工環境において、水のせせらぎやそこに集まる生物などを見て楽しみ癒される、といった観賞目的として作りますので、自然環境保護を目的としたビオトープの定義にはあてはまりません。ところが困ったことに「ビオトープなのだから魚は〇〇、植物は〇〇を入れなければいけない、防水は簡易的で大丈夫、濾過システムや水の循環はビオトープ本来の意義に反する、手入れをせず自然のままが一番良い」と、自然環境保護分野のビオトープの定義に固執して譲らない人を時々見かけるのですが、このような作り方をしてしまうと水漏れして庭全体がグチャグチャの湿地帯になってしまったり、ドブのような臭くて汚い水質になってしまったり等々、トラブルに悩まされてビオトープを楽しむどころではないという残念なケースになることがほとんどです。

そもそもビオトープ本来の意味である自然環境の復元や生態系の保護は、自然環境の中で行うものであって、個人のお庭やベランダなどの人工環境の中で行えるものではありません。なぜなら、自然環境の中には美しい草花、蝶、小鳥のように人に歓迎される生物ばかりでなく迷惑な生物も数多く存在します。もしお庭で自然環境の復元や生態系保護を行うというのであれば、カラス、蚊、蛾、蜘蛛、蜂など、時として人に害を及ぼす生物や、見苦しい雑草なども全て受け入れなければなりません。人間の都合で一部の生物だけ排除するということは、ビオトープ本来の意味である「自然環境保護」という意味に矛盾していることになります。つまり、人が快適に過ごせる環境の中で自然環境の復元や生態系の保護を行うことは非常に無理があるのです。

「ガーデニング」分野の様々なビオトープ

ビオトープには、自然環境保護を表す意味と、ガーデニング用語で水辺を表す2つの意味があることがご理解いただけましたでしょうか?近年都市部においては地上の庭に限らず、屋上やベランダなどの人工環境にビオトープを作り楽しむケースが多くなりましたので、これらを2つの意味を混同してしまわないように注意し、人工環境に適合した作り方と管理を行わなければ、人が観賞して楽しむという目的からかけ離れたものになってしまいます。自然生物ファーストの「自然環境保護」分野と、人間ファーストの「ガーデニング」分野では、ビオトープの作り方や概念が全く異なるということを忘れないでください。

ガーデニング分野のビオトープには難しい定義などはありません。当然のことですが、自分のお庭にどんな植物を植えるのか、どんな魚を飼うのかは作る人の自由なのです。(※但し、もし自分のお庭で外来種等の植物や魚を育てた場合、増えすぎたからといって自然環境に放流したりすることは絶対にやってはいけません。) 学校や幼稚園などにおいて、自然の生態系を学習する目的でビオトープを作る場合を除き、ビオトープ本来の定義にとらわれる必要はまったくありません。

大切なのは「人が心地よく楽しめる範囲で上手に自然と共存する事」であることを忘れずにビオトープ作りをスタートしましょう。

ビオトープの正しい作り方

ビオトープを作る前に必ず読んでいただきたい大切な情報。作り方の注意点やポイント、トラブル例、Q&A等、ビオトープ作りで失敗しないために役立つ情報をご紹介します。

神奈川(湘南地区)を中心に東京・千葉・埼玉等(その他の地域もご相談ください)「湧水の心池」シリーズは全国に発送可能です。