ビオトープの歴史は、ドイツのある生物学者が「生物の生息空間」のことを、ギリシャ語の「bio=生命」と「topos=場所」を組み合わせた合成語「biotop」と名付け、1976年にドイツで自然環境の復元を盛り込んだ自然保護法が制定されたことから、政府や企業、市民が協力して森林や池などを整備するというビオトープ作り活動が広がったそうです。(ドイツでのビオトープとはビオトープの意味のページで説明した「生物の生息空間」です)

参考:ドイツのビオトープについて詳しく書かれているサイト⇒ドイツ環境情報のページ

日本では1970年代頃から、小・中学校の校庭に自然風の水辺を作り、そこに生息する生態系を観察するといった環境教育の場としてビオトープ作りが流行しはじめ、今では「水と緑による癒しの空間」として一般家庭のお庭にビオトープを作り親しまれるケースの方が圧倒的に多くなりました。このように、ドイツのビオトープが自然の復元を目的として始まったのに対し、日本におけるビオトープは環境教育の場、癒しの環境作りというような目的が先行したようです。日本でビオトープと言えば「自然風の水辺」と一般的に認知されるようになったのはこのような経緯が理由なのかもしれません。

さて、ビオトープという言葉がドイツから伝わるまで、日本にビオトープの作り方に関する情報はありませんでした。そこでビオトープ先進国であるドイツから資材を輸入し見様見真似で作り始めた、というのが日本におけるビオトープ作りの始まりのようです。つまり、ビオトープ作りで失敗しないためのポイントと注意点のページでトラブルの原因として説明している「防水シートを使用して水を溜めるだけ」という作り方はドイツから伝わったようなのです。「ビオトープの先進国であるドイツから輸入されたものだから大丈夫だろう」と信頼して、日本でもこの作り方を真似してビオトープを作られた方が多くいるようですが、水漏れや水質汚濁等のトラブルが多発しているのが現実です。ここで疑問に思うのは、本当にこのような作り方をしてドイツでは問題は起きないのか?ということです。

その答えは、ドイツと日本とでの環境(気候風土、水質、土質、生態系の種類)の違いにあります。ドイツは緯度で見ると北海道と同じかやや北にあたるため、気候は北海道に似ているようです。冬が長く、日照時間も短いようで、日本のように夏場は35℃を超える日が続くということもありません。又、ドイツの水はミネラル(カルシウムやマグネシウム)が豊富に含まれた硬水で、水道管、湯沸かし器、コーヒーメーカーなどはミネラル分が付着して真っ白になってしまい、お風呂のシャワーもミネラル分で詰まってしまうそうです。(

これだけ温度や日照時間に差があり、ミネラル分を豊富に含んだ水を使用しているのであれば、ドイツのビオトープでは水を循環させたり水質浄化をしなくても常に澄んだ水質を保てるのでしょう。又、豊富なミネラル分を含んだ水や土質は、カルシウムによる石灰化で水の浸透を防ぎ、シートのような簡易な防水でも水漏れのトラブルは発生しないのかもしれません。

このように、日本の環境と全く異なるドイツのビオトープと同じ作り方を真似しても上手くいかないのは当然のことなのです。日本でビオトープを作るのであれば、日本の環境に適合した作り方(設計・資材の選択・維持管理)をする必要があるのです。

ドイツ ビオトープ.jpg

       ドイツと日本は風土が異るため、ビオトープの作り方も異なる

ビオトープの正しい作り方

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