ビオトープの最適な水深は、目的、水面積、水循環量とのバランスによって異なってきます。(ここでいう「最適」とは、常に澄んだ水質を保てる状態のことをいいます)

これまでの経験では、庭に作る一般的な大きさのビオトープ(1〜2㎡程度)において水生植物やメダカ程度の小さな魚を観賞するのであれば、水深は15〜30cm程度あれば十分です。(但し貯水量に見合った水の循環と濾過システムは必要です)これ以上深くすると水が汚れやすくなり、メンテナンスも大変になります。流れを作る際も同様で、あまり深くしてしまうと水の動きが消えてしまい、きれいなせせらぎを楽しむことができません。数字の上で15〜30cmというと浅く感じられるかもしれませんが、実際に水を貯めてみると全く違和感がありません。なぜなら、普段目にしている自然界のビオトープを良く観察してみると、その縁部分はエコトーン(緩やかな傾斜)で構成されているため、水深は10〜15cmと意外と浅いのです。

自然界のビオトープ

エコトーンで構成されている自然界のビオトープ(水深は10〜15cm程度) 

一般的に作られているビオトープは水深を深くしすぎる傾向があり、それが原因となって諸々のトラブルを引き起こしているケースを多く見かけます。 

ビオトープの水質をきれいに保つ重要なポイントとして、池底の石に付着生息する「水質浄化バクテリア」の存在があります。このバクテリアがうまく水質浄化活動するためには「酸素」が必要なのですが、水深が深くなればなるほどバクテリアが生息する底石まで酸素が行き届かなくなり、水質浄化効果は弱くなります。鯉のような大型の魚を飼育する池などの場合は50〜100cmと深くすることがありますが、そのような場合は水面積を大きくし、エアレーションや濾過システムを備える必要があります。一般的に販売されているプラスチック製の成型池(心池やひょうたん池)は水深を30〜50cm程度と深く設計されていますが、その水量に対応できるだけの性能をもった濾過システムを備えなければ、あっという間に水は濁ってしまいます。

インターネットの口コミ等で「水の濁りを防ぐには水深は深いほうが良い」という情報を時々目にすることがありますが、これまでの経験でそのような事実はありません。どうやら常に直射日光に晒されている庭の真ん中にビオトープを作ることを想定し、水温の上昇を防ぐための対策を示しているようなのですが、根本的にそのような場所にビオトープを設計すること自体がトラブルの原因であり、どんなに水深を深くしても澄んだ水質を保つことは困難です。

ビオトープを作る目的が大型魚の飼育であって、水面積と水循環量のバランス、濾過システム、最適な設置場所等がしっかりと設計されている場合を除き、お庭のビオトープでは不必要に水深を深くすることは水を淀みやすくし、アオコを発生させる原因となりますのでお勧めできません。

又、近年ベランダや屋上などの建築物の上にビオトープを作るケースが増えていますが、ベランダや屋上には積載荷重制限(一般的な建物は180kg/㎡程度)がありますので、あまり水深を深くすると水の重量(例えば水深30cmで水の重量は300kg/㎡にもなります)だけで積載荷重制限オーバーになることがありますので注意が必要です。

水質維持機能

     澄んだビオトープに適した水深は15〜30cm程度で十分

ビオトープの正しい作り方

ビオトープを作る前に必ず読んでいただきたい大切な情報。作り方の注意点やポイント、トラブル例、Q&A等、ビオトープ作りで失敗しないために役立つ情報をご紹介します。

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