ビオトープ カラス

屋上にビオトープを作ると多く見られるトラブルですが、特に病院や老人ホームでは嫌がられるトラブルです。カラスはビオトープが好きなようで、ある施設の屋上にビオトープを作ったところカラスの大群が集まってきて水浴びをはじめてしまい、追っ払うのに大変な苦労をした経験があります。カラスの飛来を防止する方法はいろいろと提案されていますが、テグスやネットを張ったりという方法では景観を損ないますのであまりお勧めできません。

最近ではホームセンターの園芸用品売り場に「カラス除け」なるグッズが売られています。アクアフォレストでもいろいろ購入して試してみましたが、ある程度効果はあるようですので試してみてください。中でも「カラスなぜ逃げる」という商品は効果があるようです。

ちなみにアクアフォレストが病院や老人ホームでビオトープを作る際は、カラスが嫌うある種の植物をビオトープのまわりに植えて飛来を防止していますが、この方法でカラスが寄ってきたことはこれまでありません。

ビオトープが完成するとやはりメダカを入れたくなるものです。メダカは2〜3匹では目立たないので、つい一度にたくさん入れがちなのですが、無数に増えてしまい手に負えなくなってしまったというケースがよくあります。ビオトープにメダカのエサを投入していたり、富栄養化した汚れ気味のビオトープでよく見られるトラブルなのですが、メダカにエサを与える⇒メダカが排泄する⇒水が富栄養化する⇒藻類が繁殖する⇒メダカの食べ物が増える⇒メダカは益々繁殖する、というサイクルを繰り返してしまっているのが原因です。ビオトープの中には藻類や水草等、メダカの食べ物となるものはいくらでもありますのでエサを与えなくても餓死することはまずありません。ビオトープにメダカを入れるのであれば、最初は5匹位からはじめて(様子を見ながら少しずつ増やす)、エサは与えないようにすることをおすすめします。

ビオトープのメダカが行方不明になるのは以下の2つのパターンがほとんどです。

①大雨が降った際に水が溢れ、メダカが池の外に流れ出てしまった。

水位が一定以上に増えないオーバーフロー機能が付いていなかったのが原因です。オーバーフロー機能により大雨が降っても水が溢れなければメダカが流出することはありません。

②水中ポンプに吸い込まれてしまった。

循環用の水中ポンプをそのまま水没して使用したのが原因です。メダカがポンプに吸い込まれないようネットや柵でポンプを囲む必要があります。

せっかくビオトープを作ったのに水漏れしてしまったという話を良く聞きます。最近では屋上緑化やアトリウム等、建築物の中にビオトープを設けることも多くなりましたが、その際水漏れは大きなトラブルにもつながりますので特に注意が必要です。

よくある水漏れ事故の例毎に原因を説明します。

 ①防水シートを使用して池を作ったが、石の角など鋭利なもので穴が空いてしまい、そこから水がもれてしまった。

 <原因>

防水シートは簡易的なビオトープを作るには適していますが、素材の性質上、耐久性を求めることは少し無理があるようです。短期の間だけ楽しむために簡易的なビオトープを作る場合は問題ありませんが、本格的にビオトープを作る場合は使用しない方が安全です。

ビオトープ 水漏れ

   防水シートが裂けて水漏れしたビオトープ

 ②防水シートの上に更に保護モルタルを塗ったが、すぐにひび割れして剥離してしまった。

<原因> 

防水シートが剥き出しのままだと耐久性が心配で見栄えも良くない、との理由でその上から保護モルタルを塗るケースがありますが、残念ながら柔軟性のある樹脂製の防水シートにモルタルは付着しません。地面は常に動いていますので、地震など何らかの動きが加わった結果、防水シートとモルタルが剥離し割れたものと考えられます。このような状態の上にいくらモルタルを塗りなおしても、またすぐにひび割れてしまいます。モルタルは撤去するのが大変ですので、防水シートの上にモルタルを塗るのはおすすめできません。

ビオトープ ひび割れ

     モルタルの収縮によるひび割れ

 ③鉄筋を入れたモルタルでビオトープを作ったが、クラックが発生して水が漏れてしまった。

<原因> 

一般的に鉄筋等の補強材が入ったコンクリートやモルタルは強度が高く安全と思われていますが、補強材を入れてもクラックは発生することがあります。その場合はモルタルの配合に問題があることが考えられます。

少し専門的な話になりますが、モルタルの配合の中でも特に重要となるのはセメントに対する練り水の比率(W/C%)で、これにより硬化後のモルタルの強度や耐久性は大きく変わってきます。(練り水は少ないほど硬化後のモルタルは緻密となり強度・耐久性ともに高まります。逆に多くなるほどモルタルは多孔質的になり強度・耐久性は低下していきます)

水を溜めることを目的とするビオトープを作るのであれば、W/C25%以下の高品質な配合のモルタルを使用するのが理想なのですが、このようなモルタルを工事の現場で作ることは容易ではありません。管理された工場内で原料を厳重に計量し、減水剤という特殊な薬剤を使用しなければ作ることは困難です。又、モルタルを打設した後の養生の仕方によっても品質は大きく変わってきます。ひび割れを防ぐには、管理された高品質なモルタルを使用し、急激に乾燥しないようブルーシートなどでしっかりと養生する必要があります。

職人さんらしき人が「長年やっているから勘で分かる」といいながらハカリで計量もせずに適当に水を混ぜてモルタルを練っているのを時々見かけますが、このようなモルタルではビオトープの素材として求められるような耐久性や防水性を期待することはできません。

ひび割れなどは見当たらないのに毎日少しずつ水が減ってしまいます。どこかから水が漏れているのでしょうか?と聞かれることがあります。水漏れしていなくても水が減ることはあります。

原因は

①滝などから流れ落ちる水のしぶきによる飛散

②水中ポンプの熱による水の蒸発

③強風の影響による水の蒸発

④水生植物による水の吸上げ

等があげられ、水漏れしていなくても一日あたり1〜2cm程度水位の減少があります。ただし、このまま放っておけばいずれ渇水状態になり、ポンプが故障しますので、常に一定量の水位を保たせる調水器や、定期的に水を補給する給水機が付いていれば安全です。

尚、これまでの経験によると、日照りの強い夏場と同様に、空気が乾燥した冬場も水の蒸発が著しいですので、日照りの弱い冬場であっても渇水の注意が必要です。  

都市部の「ヒートアイランド現象」など環境への関心が高まり、屋上緑化や屋上ビオトープの工事を行う際は各自治体が「助成金制度」を実施しています。

自治体によっては最大500万円もの助成を行っていますので、ぜひこれらの制度を有効に活用してください。※年度により助成金額や条件が異なる場合があります。詳しくは各自治体にお問い合わせください。

<目次>

東京都の助成金情報

神奈川県の助成金情報

埼玉県の助成金情報

千葉県の助成金情報

<東京都>(街かど緑化支援事業)

緑化事業費の半分。助成額限度200万円まで 。 (優れたプロジェクトに対しては500万円)

<港区>

25,000円/m2または補助対象工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額500万円。

<足立区>

工事費の1/2。ただし15,000円/m2を上限。助成限度額50万円。


<荒川区>

2万円/㎡と施工面積を乗じて得た額と施工費用の1/2の額のうち小さい額。助成限度額30万円。


<板橋区>

緑化面積に区の標準工事費単価(2万円/㎡)を乗じた額と施工費用の1/2の額のうち小さい額。助成限度額40万円。
 
<葛飾区>

10,000円/m2または補助対象工事費の1/2の金額のうち小さい額。

<北区>

20,000円/m2または総経費の1/2。助成限度額100万円。

<江東区>

 工事費の1/2(30,000円/m2が上限)。助成限度額30万円。

 <品川区>

15,000円/m2(土厚15cm以上35cm未満)。助成限度額30万円。


<渋谷区>

4,000円/m2(建築面積の20%を超える面積の超えた分)。助成限度額40万円。


<杉並区>

5,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額100万円。


<墨田区>

 10,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額40万円。

<世田谷区>

20,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額50万円。

<台東区>

10,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額40万円。

<中央区>

経費の1/2。 5,000円/m2。助成限度額50万円。
 
<千代田区>

10,000円/m2または補助対象工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額50万円。

<豊島区>

工事費の3/2以内かつ限度額50万円。

<練馬区>

20,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額80万円。

<文京区>

緑化面積が5m2以上であること。その面積の50%以上が樹木の植栽であること。助成の内容は問い合わせ。


<目黒区>

 土厚15cm未満20,000円/m2。助成限度額40万円。

<昭島市>

18,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額40万円。

<厚木市>

50,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額100万円。


<相模原市>

20,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額50万円。

<藤沢市>

個人3m2以上、事業所10m2以上。工事費の1/2。 助成限度額個人20万円、事業所100万円。
 
<川崎市>

3m2以上。2万円/m2を限度。限度額100万円まで。


<横浜市>

土厚30cm未満10,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額50万円。

<川口市>

20,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額10万円。

<川越市>

20,000円/m2または工事費の1/2の金額のうち小さい額。 助成限度額40万円。

<戸田市>

工事費20,000円/1m2未満は全て20,000円。1m2以上は20,000円/m2×緑化区画×2/3。助成限度額は50万円。

<市川市>

3m2以上。緑化区画(m2)×3万円(樹木の場合)の1/2もしくは、緑化区画(m2)×5千円(芝等の場合)の1/2、または工事費の1/2のうち小さい額。助成限度額50万円。

<船橋市>

3m2以上。工事費の1/2。助成限度額20万円まで。 

庭池やビオトープを作る仕事をしていると時々聞かれるのが「庭に池を作ると家相的に良いのか?悪いのか?」という疑問です。インターネット等で調べてみると、風水では「水は財を生む」と考えられており、庭に湧水池や滝などの水辺を作ることは「吉」とされています。昨今話題のパワースポットや神社仏閣など、神聖な場所の多くに清澄な水辺を備えていることからもうなずけることです。

風水の本場中国では良い運気を引き込むために家や事務所の玄関に滝のオブジェを置いたりするそうですが、龍もまた運気を上げるアイテムだそうで、昇り龍をイメージさせる曲がりくねった形をした滝は特に重宝されるとか。

風水には様々な情報がありますが、どの情報にも共通しているのは「きれいで流れのある水は吉、淀んで濁った水は凶」ということです。他にも風水的に良い魚の種類、水辺を設置する方角等、いろいろな説があるようですが、もし風水に興味がありましたら以下の専門サイトを参考にしてみてください。

http://www.taniguchirei.com/blog/2009/04/post_539.html

http://www.hiroshima-gas.co.jp/good/fusui/0312/0312_1.htm

http://www.wofs.jp/archives/000269.shtml 

庭のビオトープ(滝と流れ)

         きれいで流れのある水辺は「吉」

池と沼の違いは?と聞かれて「カッパがいるのが沼」と答えているテレビCMを見たことがありますが、聞かれてみるとなかなかきちんと答えられません。これらに明確な定義はないようですが、あえて学術的な分類をすると以下のようになります。

 「池」は、地表上の淡水で覆われた領域で、湖ほどには大きくないものを指す。同様のものを「沼」と呼ぶこともあるが、これらに明確な区別はない。両者をまとめて池沼(ちしょう)と呼ぶこともある。日本では、水田耕作の必要から、人工的に作られたため池が多い。池や湖との区別は明確ではないが、一般に水深5m以内の水域であり、イネ科やシダ、ヨシ、ガマ、スゲなどの草に占められ、透明度が低く、規模があまり大きくないものを指す。湖沼学上では、水深が浅く水底中央部にも沈水植物(水草)の生育する水域と定義される。湿っぽく泥の深い地の事を沼地と呼ぶ。沼地の植物は草よりもむしろ木の方が多い。

「湖」とは、湖沼のうち比較的大きなものであり、一般には水深5-10メートルより深いものを指す。慣例的には水深が浅いもの(おおむね5m未満)を池とし、それ以上のものを湖とすることが多い。最深部まで植物が繁茂するものになると沼と呼ぶことが多くなる。

  参考:Wikipedia  沼   

アクアフォレストが施工したビオトープにやってきた小さな生物達の様子をご紹介します

ビオトープ トンボ

徳島県の老人ホーム。中庭ビオトープでふ化した直後のトンボの幼虫

ビオトープ チョウ

東京都の公共施設5階。屋上ビオトープにやってきた蝶

ビオトープ セミ

埼玉県の幼稚園。校庭ビオトープでふ化したセミの幼虫

ビオトープ 生物

アトリエの庭。水を飲みにやってきた鳩

ビオトープ 猫

アトリエの庭。いつの間にか猫ちゃんの水飲み場に・・・   

ビオトープの掃除アイテム

フィッシュポンプ

(メーカー:㈱貝沼産業) 

ビオトープの底には魚の排泄物や藻類が少しずつ沈殿していきますので定期的なお掃除が必要です。沈殿物は目の細かい網などですくおうしようとしても、水中で舞ってしまうのでなかなかきれい取り除くことができません。特に敷石の間に蓄積した沈殿物の掃除は厄介で、一度石を取り除いて水換えしたりと結構手間がかかります。そんな時に便利なのがこの「フィッシュポンプ」。本来は水槽の水換え用ポンプなのですが、ビオトープの沈殿物除去にも最適な優れものです。

ちょうど石油ポンプの給水口にストレーナを装着したような物なのですが、ストレーナを敷石の上に当てて、石油ポンプのようにパフパフと握ると、沈殿物のみをピンポイントできれいに吸い取り、外に排出してくれます。これで面倒な水換えは必要はありません。非常に安価なのも魅力。(ホームセンターなどで500円程度で購入できます)アトリエのサンプルガーデンも、このフィッシュクリーナーを使い始めてから随分と手入れが楽になりました。沈殿物のお掃除でお困りでしたらぜひ一度お試しください。 

ビオトープの掃除方法

ストレーナー付きの吸い込み口

ビオトープの掃除風景

沈殿物だけが外に排出されます

ビオトープの施工を業者に依頼する場合、造園業者に依頼するケースが多いようですが、造園業者であればどこでもビオトープを作れるというわけではありません。

ビオトープを作るには以下の3つの技術と知識が必要になります。

①造園技術

②防水技術

③水質浄化技術

造園技術とは、立派な日本庭園を造れるという技術ではなく、ビオトープにふさわしい樹木や草花をセンス良く選択し、きちんと育つよう適所に植栽したり、お庭の雰囲気にマッチした水辺をデザインする技術のことですが、これは造園業者の専門分野内です。

注意しなければいけないのは、残りの2つ(防水技術、水質浄化技術)は造園業者の専門外ですので、この2つの技術をきちんと兼ね備えているかを見極めるのが大切なポイントとなります。

「業者にお願いしてビオトープを作ったのに水漏れしてしまった」「いつまでたっても水が濁ったままで汚らしい」等々、アクアフォレストにはこのようなお困り相談の電話があるのですが、これらの業者に共通するのは防水と水質浄化の技術が伴っていないということです。

関西のある地域では学校にビオトープを作る際に役所から助成金が支給されていたのですが、この助成金を目当てに、技術を伴わない業者が多くの学校でビオトープの施工を行いました。ところが1年もすると水が貯まらなくなりビオトープが消滅してしまった、というマンガのようなケースが多発しました。詳しく状況を聞くと「DIY用の防水シートを使用したら水漏れが発生した。修理したくても修理の仕方がわからない」と、何ともお粗末な言い訳を業者はしているそうです。ひどいケースでは「ビオトープとはそういうものだ」といってクレームに取り合ってくれない業者もいたそうです。見かねた役所はとうとうビオトープの助成金を止めてしまいました。同業者として非常に残念なことですが、このようにお客様に悲しい思いをさせる悪質な業者が存在することは否めません。

それではこのような失敗をしないためにどのような業者を選べば良いかというと、ズバリ「ビオトープ作りを専門に行っている業者」を選ぶことです。「ビオトープは何回か作ったことがあるから大丈夫」という業者では話になりません。これまでのページで何度も説明してきましたが、ビオトープ作りには専門的な技術やノウハウが必要ですので、専門外の業者が片手間にやって上手くいくものではありません。

ビオトープ作りの専門業者であるか否かは、その業者のホームページを見れば一目瞭然でしょう。専門業者であれば豊富な施工事例や技術的な説明が細かく載っているはずです。自分が求めているイメージに近い施工事例が載っているか、十分な経験と技術を持っていそうか、丁寧に仕事をしてくれそうか等、業者を選ぶ前にしっかりと読み取ってください。どんな仕事も同じですが、ビオトープ作りは経験豊富な業者にお願いするのが一番安全です。

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ビオトープの正しい作り方

ビオトープを作る前に必ず読んでいただきたい大切な情報。作り方の注意点やポイント、トラブル例、Q&A等、ビオトープ作りで失敗しないために役立つ情報をご紹介します。

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