せっかくビオトープを作ったのに水漏れしてしまったという話を良く聞きます。最近では屋上緑化やアトリウム等、建築物の中にビオトープを設けることも多くなりましたが、その際水漏れは大きなトラブルにもつながりますので特に注意が必要です。

よくある水漏れ事故の例毎に原因を説明します。

 ①防水シートを使用して池を作ったが、石の角など鋭利なもので穴が空いてしまい、そこから水がもれてしまった。

 <原因>

防水シートは簡易的なビオトープを作るには適していますが、素材の性質上、耐久性を求めることは少し無理があるようです。短期の間だけ楽しむために簡易的なビオトープを作る場合は問題ありませんが、本格的にビオトープを作る場合は使用しない方が安全です。

ビオトープ 水漏れ

   防水シートが裂けて水漏れしたビオトープ

 ②防水シートの上に更に保護モルタルを塗ったが、すぐにひび割れして剥離してしまった。

<原因> 

防水シートが剥き出しのままだと耐久性が心配で見栄えも良くない、との理由でその上から保護モルタルを塗るケースがありますが、残念ながら柔軟性のある樹脂製の防水シートにモルタルは付着しません。地面は常に動いていますので、地震など何らかの動きが加わった結果、防水シートとモルタルが剥離し割れたものと考えられます。このような状態の上にいくらモルタルを塗りなおしても、またすぐにひび割れてしまいます。モルタルは撤去するのが大変ですので、防水シートの上にモルタルを塗るのはおすすめできません。

ビオトープ ひび割れ

     モルタルの収縮によるひび割れ

 ③鉄筋を入れたモルタルでビオトープを作ったが、クラックが発生して水が漏れてしまった。

<原因> 

一般的に鉄筋等の補強材が入ったコンクリートやモルタルは強度が高く安全と思われていますが、補強材を入れてもクラックは発生することがあります。その場合はモルタルの配合に問題があることが考えられます。

少し専門的な話になりますが、モルタルの配合の中でも特に重要となるのはセメントに対する練り水の比率(W/C%)で、これにより硬化後のモルタルの強度や耐久性は大きく変わってきます。(練り水は少ないほど硬化後のモルタルは緻密となり強度・耐久性ともに高まります。逆に多くなるほどモルタルは多孔質的になり強度・耐久性は低下していきます)

水を溜めることを目的とするビオトープを作るのであれば、W/C25%以下の高品質な配合のモルタルを使用するのが理想なのですが、このようなモルタルを工事の現場で作ることは容易ではありません。管理された工場内で原料を厳重に計量し、減水剤という特殊な薬剤を使用しなければ作ることは困難です。又、モルタルを打設した後の養生の仕方によっても品質は大きく変わってきます。ひび割れを防ぐには、管理された高品質なモルタルを使用し、急激に乾燥しないようブルーシートなどでしっかりと養生する必要があります。

職人さんらしき人が「長年やっているから勘で分かる」といいながらハカリで計量もせずに適当に水を混ぜてモルタルを練っているのを時々見かけますが、このようなモルタルではビオトープの素材として求められるような耐久性や防水性を期待することはできません。

ビオトープの正しい作り方

ビオトープを作る前に必ず読んでいただきたい大切な情報。作り方の注意点やポイント、トラブル例、Q&A等、ビオトープ作りで失敗しないために役立つ情報をご紹介します。

神奈川(湘南地区)を中心に東京・千葉・埼玉等(その他の地域もご相談ください)「湧水の心池」シリーズは全国に発送可能です。