防水シート(遮水シート)はネット通販やホームセンターなどでも手軽に購入でき、非常に安価であることからDIYでビオトープを作る時に多く利用されています。
元々防水シートは農業用の溜池などを作る時などに用いられる資材のようですが、いつからかビオトープに流用されるようになったようです。福島原発の放射能汚染水を溜めるプールに防水シートが採用され、そのプールから水漏れしてしまい土壌が汚染されたというニュースで流れてましたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
「防水」と名が付くからには水漏れしないように思えますが、実際には「水を溜め易くする」程度の防水性能しかありません。防水シートを使用して水漏れした現場を見ると、石の角や水性植物の根などで穴が開いたり、経年劣化でひび割れしてすぐに水漏れしてしまい耐久性が無いことがわかります。防水シートの下に保護用と思われるフェルト状のマットを敷いてあったりもしますがほとんど意味がないようです。
水が貯まらなくなった防水シート製ビオトープ

防水シート下に敷いてある保護用マット
防水シートの上にモルタルやコンクリートを打設してあるケースもありますが、材料の性質上ほとんどの場合ひび割れし無駄になってしまいます。
コンクリートのひび割れ

水が貯まらなくなったコンクリート製の池
そして一番多いのは防水シートの上に粘土質の土(荒木田)を被せるケースです。おそらく防水シートだけでは完全に防水できないため粘土質の土でシート表面を覆い防水性を補っていると考えられますが、水生植物の根が貫通すればすぐに水漏れしてしまいます。土を入れてしまうと水を循環させるポンプが取り付けられないため、あっという間に濁り汚い姿になってしまいます。
参考:ビオトープ作りでやってはいけない三原則その1 (土を入れる)
そもそも防水シートは溜池用に作られたものですので水を溜め易くする程度の防水性で十分なのでしょう。防水シートを使用するという工法はビオトープ先進国ドイツから伝わってきたようですが、ドイツとは環境が異なりますので日本でのビオトープ作りには適しません。
なぜここまで防水シートを使用することに慎重になって欲しいのかというと「防水シートを使用したら水漏れしてしまった」という水漏れトラブル相談を数えきれない程受け、実際に水漏れした現場を見てきたからです。現在市販されている防水シートや遮水シートといわれる資材に水漏れ保証付きの物は無く、ビオトープに流用するには耐久性が不十分と言わざるを得ません。このようなトラブル情報はネット上でも多く見られるようになり最近では使用されるケースが減ってきましたが、今でも防水シートを使用してしまう業者がいるのが現実です。DIYで使用する分には自己責任ですが、少なくともプロが作るビオトープに使用すべきものではありません。
以上の経験からわかるのは、ビオトープの防水材には「鋭利な物を刺しても穴が開かない硬さと、地震等による地面の動きにフレキシブルに追従できる適度な柔軟性、そしてこれらを恒久的に保てる耐久性」という防水材の概念が必要ということです。これら条件を満たせる防水材料は今のところFRP(ガラス繊維強化プラスチック)しかありません。ちなみにアクアフォレストでは、FRPの表面を天然石で被覆して更に耐久性を高めた「ハイブリッドFRP」という材料を使用しており、水漏れ保証できるだけの耐久性を確保しています。

アクアフォレスト式ビオトープの防水材(ハイブリッドFRP)