「ビオトープといえばメダカ」というくらい定番で多くの人が親しまれていることと思います。ビオトープでメダカを飼う際に1つだけ注意して欲しい事、それは「エサやり」をしないという事です。
ビオトープでメダカを飼い始めたとたんに水が濁り始めることがありますが、これはエサを与えたことによって水が富栄養化し、藻類が繁殖過多になっている状態です。水槽飼育用に市販されている魚のエサの中には水の濁りの原因となる窒素やリンが含まれており、エサを与え過ぎると窒素分のほとんどがアンモニアとして排泄され、そのアンモニア毒でメダカが死ぬこともありますので注意が必要です。
屋内に置かれたガラス張りの水槽内とは異なり、屋外に置かれたビオトープの中には自然に繁殖するプランクトン(藻類)等、メダカのエサとなるものはたくさんありますので、エサを与えなくても餓死することはありません。アトリエに設置してあるビオトープにもメダカが泳いでいますが、一度もエサを与えたことはありませんが元気に泳ぎまわっています。様子を観察してみると、メダカや金魚は石に付着した藻類(コケ)を一生懸命食べて水中を掃除してくれています。つまり、メダカが排泄する→排泄物を栄養としてプランクトン(藻類)が増殖する→増殖した藻類をメダカが食べて水中を掃除する、というのがビオトープ本来の姿(サイクル)なのです。エサやりをするということは、水中の富栄養化と藻類の繁殖過多を招き、ビオトープ本来のサイクルを崩すことに他なりません。メダカが大繁殖してしまったり、アオコが発生して手に負えない状態になってしまった、というトラブルの原因のほとんどは、この「エサやり」です。
メダカを飼う際は、ビオトープが完成して3〜4週間程度そのまま放置し、エサとなるプランクトンが自然に発生するのを待ってから放流することをおすすめします。このようにビオトープ本来のサイクルを作ることにより、人もメダカも快適な環境でビオトープを楽しめるようになるのです。

ビオトープのメダカにエサは与えなくても大丈夫