身近な屋上緑化スペース等を利用した森林セラピーガーデン

      

森林環境がもつ心身の癒し効果(小川のせせらぎ音、小鳥のさえずり、樹木の香り等)を、健康増進やリハビリテーションに活かす自然療法として注目されている「森林セラピー」。しかし森林セラピーを受けられるフィールドは都市郊外の遠隔地にあるため、そこまで移動することが困難な高齢者や身障者にとっては難点が残されていました。

アクアフォレストが開発した「森林セラピーガーデン」は、都市部の屋上緑化空間等を森林セラピーのフィールドとして利用することにより、身近な場所での森林セラピーを可能にしています。

ビオトープ 屋上森林セラピーフィールド

<お知らせ> 森林セラピーガーデンが第8回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールで審査員特別賞を受賞しました。また、その様子が施工場所の地元新聞に掲載されました。

森林環境がもつ心身の癒し効果(小川のせせらぎ音、小鳥のさえずり、樹木の香り等)を活かし、健康増進やリハビリテーションに役立てる「森林療法」は、海外では120年に及ぶ歴史があり、森林療法先進国のドイツ、ポーランド、イギリス、カナダ等では健康保険の適用が認められる自然療法として確立されています。日本国内においても高齢化社会に伴い膨張する国民医療費(31兆円)を軽減するため、平成16年度より林野庁と厚生労働省がオブザーバーとなり、健康保険が適用できる医療としての確立を目指して森林セラピーの本格的な普及活動を開始しています。

ビオトープユニット 工程
屋上森林セラピーフィールド

 森林セラピーについて詳しい情報はこちら

千葉大学 健康環境フィールド科学センター
森林セラピー®総合サイト 

年々膨張する国民医療費の大きな原因といわれる高齢者医療の現場に森林セラピーが普及することは大きな意義があると考えられますが、森林セラピーを受けられる森林のほとんどは都市部から遠く離れた山岳地域に所在しているため、介護が必要な高齢者や車椅子利用者等、外出することが困難な方達に森林セラピーを普及するには様々な課題が残されています。

<高齢者等を森林に連れて行く際に考慮しなければならない点>
・ 介護者の確保
・ 車椅子を運搬できる交通手段の確保
・ 有害動物や植物の駆除
・ 杖や車椅子利用者でも安全に歩行できる緩やかな歩道の確保
・ 万一の際に医療処置ができる施設の確保
・ 高齢者に掛かる費用負担
     

介護を必要とする高齢者や身障者は森林に行くことが困難です

森林セラピーの場となる緑地は都市郊外の遠隔地にあるため、そこまで移動することが困難な高齢者や身障者にとっては難点が残されていました。これらを解決するため、身近な場所でも森林セラピーを可能にするために開発したのが、屋上緑化スペースを利用した森林セラピーガーデンです。都市部の屋上緑化空間を利用することにより身近な場所での森林セラピーを可能にすると同時に、ヒートアイランド現象対策としても効果を発揮しています。    

森林セラピーフィールド  

新たな有効活用が期待される既存の屋上緑化スペース 

屋上に高重量な造作を行うことは建物を傷める原因となるため十分な「軽量化」が必要となります。屋上森林セラピーガーデンに作られた小川や滝は、当アトリエが開発したビオトープユニット®を用いて超軽量(100kg/㎡以下)に作られています。通常の工法で造設した場合の約1/8の軽量化を実現し、森林同様の立体的なフォレストスケープを可能にしています。

ビオトープ 滝

屋上緑化での立体的なフォレストスケープ を可能にするビオトープユニット®

これまで42カ所、504名を対象とした森林セラピー実験が日本全国の森林で実施され、その内の24カ所の結果が紹介されています。森林内において15分程度の座観あるいは歩行をすることによって、駅周辺の都市部に比べ、ストレス時に高まる交感神経活動、心拍数、血圧、唾液中コルチゾール(ストレスホルモン)濃度が低下し、リラックス時に高まる副交感神経活動が高まることが明らかになっています(森林医学Ⅱ、宮崎良文ら編集、朝倉書店、2009)。森林の持つ生理的リラックス効果が科学的データから明らかにされています。
同様に、森林セラピーガーデンにおける座観においても、生理的リラックス効果が得られることが要介護高齢者に参加頂いた実験から明らかになっています。(試験実施機関:千葉大学 健康環境フィールド科学センター) 

森林セラピー効果 グラフ

                    屋上森林セラピーガーデンにおける座観がもたらす生理的リラックス効果
(出典: 屋上森林環境が要介護高齢者に及ぼす影響(2)−生理指標を用いて−松永慶子、関俊和、宮崎良文ら、第74回日本温泉気候物理医学会総会・学術集会抄録集 110)

森林セラピーガーデンは、見る人に安心感と奥行き感を与えるコンケイブ(凹型)地形で構成されています。車椅子に座った状態での視線から最も美しく見えるようにデザインされ、車椅子でも散策できるよう穏やかに起伏を施しております。清流は心地良いせせらぎ音を奏でるように水量を調整し、常に澄んだ水質を維持できる機能をもたせてあります。また、樹木の種類としては森林セラピー効果の一つであるフィトンチッドを多く発散する樹種を選定して植栽しています。

徳島県老人養護施設エルダリーガーデン屋上に施工した森林セラピーガーデンの様子をご紹介します。

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施工前の屋上

①5階建の施設の屋上に上がると小さな森林空間「森林セラピーガーデンの入り口があります。

②フィールドに入るとコンケイブ(凹型)地形による奥行の深い景観が見る人を包み込みます。

③森林浴を楽しむ芝生スペースの先には車椅子で登れるユニパーサルデザインのスロープが見えます。

④左側に心地よい滝のせせらぎを聞きながら芝生のスロープをゆっくり登ります。

⑤スロープを登るとユニバーサルデザインの太鼓橋があり、その下には湧泉から流れ出た小川が流れています。

⑥橋の左側には小川のせせらぎが見えます。

⑦橋の右側には小川の源である湧泉が見えます。

⑧橋を渡ると一休みできる東屋があり、季節の花やアロマセラピー効果のあるハーブの香りを楽しめます。

⑨小高い丘の上にある休憩場所からは、フィトンチッド(森の香り成分)を多く発散する樹木で構成した森林セラピーガーデン全体の景観を楽しめます。

ビオトープの正しい作り方

ビオトープを作る前に必ず読んでいただきたい大切な情報。作り方の注意点やポイント、トラブル例、Q&A等、ビオトープ作りで失敗しないために役立つ情報をご紹介します。

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